米国株を大量に保有するカナダの年金基金が為替ヘッジを強化する必要に迫られているため、米ドルは一段と下落する見込みだ。TDセキュリティーズがこうした見方を示した。

同社のジャヤティ・バラドワジ氏とマーク・マコーミック氏、リンダ・チェン氏らアナリストは27日付のリポートで、「今年に入り米ドルの安全資産としての魅力が低下したことから、こうしたファンドの間では米国資産の買い持ちポジションに対するヘッジの必要性が高まっている」と指摘。米ドルがさらに下落すれば「カナダの投資家はヘッジ方針の見直しを迫られ、それが米ドル・カナダドル相場への一段の下押し圧力になり得る」と分析した。

 

カナダ・ドルは今年前半に対米ドルで5%強上昇と、ここ10年近くで最高のパフォーマンスとなった。TDセキュリティーズのアナリストらは今後もカナダ・ドル高が進むとみており、年末には1米ドル=1.31カナダドルまで上昇すると予想する。これは2022年以来の高水準で、現在の約1.3665カナダドルを約4%上回る。

同社の試算ではカナダの年金基金の現在の為替ヘッジ比率は10-15%程度。カナダの投資家は総額約1兆8000億米ドル(約260兆円)相当の米国株を保有しており、仮にこのヘッジ比率が5ポイント高まれば、米ドル・カナダドル相場に約900億米ドルの売り圧力となる可能性があるという。

アナリストらは「米ドルに対するヘッジ強化やレパトリエーション(自国への資金回帰)は、今後数四半期にわたる持続的な米ドル安への道を開く」とし、「このような局面では、米ドルの上昇を待って売りポジションを取るのが最も有効な戦略だ」と指摘した。

 

原題:Dollar’s Next Risk Is Canadian Pension Fund Hedging, TD Says(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.