テニス界のスーパースター、ロジャー・フェデラー氏が億万長者の仲間入りを果たした。

フェデラー氏は2003-18年にかけてグランドスラムで20回優勝し、22年に引退するまでの24年間の現役生活で、1億3060万ドル(約190億円)の賞金を獲得した。しかし、資産の大半は、高額なスポンサー契約とスイスのスニーカーブランドへの先見的な投資から得られている。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、フェデラー氏の純資産は約13億ドルに上る。バスケットボールのマイケル・ジョーダン氏とレブロン・ジェームズ氏、ゴルフのタイガー・ウッズ氏と並び、スポーツ界の超富裕層の1人だ。

ロジャー・フェデラー氏

ブルームバーグはフェデラー氏の獲得賞金、投資、スポンサー契約を基に、スイスの現行税制や市場動向を加味して資産額を推計した。

スポンサー契約の中には、クレディ・スイス銀行(現UBSグループ)、時計メーカーのロレックス、チョコレートメーカーのリンツ&シュプルングリーなど、数十年にわたるものもあった。

 

スポーツアナリストのボブ・ドルフマン氏は「フェデラー氏はスキャンダルと無縁で問題発言もしない。マーケティングに適した人材としてテニス界で随一だ」と語った。

最大規模のスポンサー契約の一つは、キャリア晩年に結ばれた。1996年から続いたナイキとの契約が2018年に終了した際、テニスはナイキの主力市場ではなかったため、代理人トニー・ゴドシック氏は他社との交渉に踏み切った。

最終的に、ファーストリテイリングが展開するユニクロが、10年で3億ドルの契約を提示。契約には引退後も支払いを継続する条項が含まれていた。当時フェデラー氏は37歳で、引退が視野に入っていた。

しかし、最も成功したのは妻が偶然購入したスニーカーに端を発した投資だった。2010年創業のオン・ホールディングは、高級ジョギングシューズのメーカーとして知られる。

ユニクロは靴を扱っていなかったため、フェデラー氏はフットウェアメーカーとの契約を模索することができた。スニーカー愛好家として250足以上を所有するフェデラー氏は、チューリヒでオンの創業者たちと夕食を共にした。最終的に、オンの株式約3%を取得し自ら靴のデザインに携わる契約を結ぶこととなった。

オンの企業価値は現在170億ドル近くに上り、フェデラー氏の持ち分は少なくとも5億ドルの価値があるとブルームバーグは見積もっている。

フェデラー氏は最近、パリでユニクロの新作コレクションの発表イベントに登場した。30日に始まるウィンブルドン選手権にも姿を見せるとみられる。

原題:Roger Federer’s Long-Term Deals Make Him a Tennis Billionaire(抜粋)

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