(ブルームバーグ):30日の日本市場は株式が5連騰した。米国の関税政策に対する懸念後退などの追い風が吹いており、主要指数は連日で今年の最高値を更新した。
株価は伸び悩みながら日経平均株価、東証株価指数(TOPIX)ともに今年最高値を更新、史上最高値を付けた昨年7月以来の水準に上がった。中東情勢の緊迫化もやや収まり、米利下げ期待も根強い。円相場は上昇しており、債券は需給懸念がある超長期債が下落(金利は上昇)した。
世界の金融市場のリスクオフ要因だった米関税政策と中東情勢という要因が後退しつつある一方、日本についてはトランプ米大統領が自動車貿易を巡り不満を示している。東証業種別指数で自動車を含む輸送用機器は値下がりし、指数の重しになった。
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト兼テーマリサーチ担当は、米関税問題の前進を期待して米S&P500種株価指数が史上最高値を更新したと指摘。今週は「今年に入り最も好材料がそろう週になる可能性が高まってきた」と30日付リポートに記した。
株式
東京株式相場は5営業日続伸。円相場の上昇とともに上げ幅を縮小したが、主要株価指数は連日で年初来高値を更新した。米国が関税交渉の合意国を順調に増やしているとの期待に加え、個人消費支出(PCE)統計後も米利下げ観測が維持されたことを好感した。
情報・通信や精密機器、機械株などが上昇。米国株の最高値更新による投資家心理の改善も後押しし、電気・ガスや小売り、建設株など内需関連も幅広く買われてた。中国が一部の日本産水産物について輸入の再開を認めると発表したことで極洋は続伸した。
りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、リスクオンの動きはしばらく続く可能性があると述べた。足元の上昇は「バリュエーションの修正」が背景との見方を示し、相場をけん引するハイテク株の過熱感は限定的とした。
TOPIXの値上がり寄与度上位にはソフトバンクグループ、任天堂、NTT、ダイキン工業などが入った。値下がり寄与ではソニーグループ、日立製作所、トヨタ自動車、ホンダ、三菱重工業など。
為替
外国為替市場の円相場は1ドル=143円台後半まで上昇する場面があり、G10通貨の中では対ドルで最も上昇している。米国のインフレ指数やトランプ大統領の関税発言に加えて、根強い米利下げ観測がドル売り・円買い圧力となっている。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト、三原正義マーケットアナリストは30日付リポートで、日米通商協議の難航・長期化は円高を示唆すると指摘した。
米国が対日貿易赤字を確実に削減するため、大幅な対米輸入拡大と輸出抑制措置だけでなく、円安是正や日本銀行による利上げ継続のコミットメントも求めている可能性が高いとした。このため、今後は再び日米当局によるドル安・円高誘導や日銀の追加利上げへの市場の思惑が強まる局面がくるとみている。
1-6月の円の対ドルでのパフォーマンスは9年ぶりの高さとなっている。

債券
債券相場は超長期債を中心に下落。米長期金利の上昇に加え、入札が続くことへの懸念から売りが優勢だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「超長期債には買い材料がない」と語った。3日に30年債入札を控え警戒感が強い上、参院選が近づき財政拡張への懸念も根強いと言う。
ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、財務省と日銀が思い切った対応をしたにもかかわらず、超長期金利の低下が限定的で「買い材料は出尽くしている」と指摘。超長期債を「買って持ち続けることには相当不安が強い」と述べた。
先物は午後、急速に下げ幅を縮小した。SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「特に材料は出てない」とした上で、「朝方からリスクオンで買われていた株が上げ幅を縮小したことを受けて下げ幅を縮小した」と指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:間一生、近藤雅岐、横山桃花.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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