(ブルームバーグ):米大手銀行は連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を問題なく通過した。これで自社株買いや配当を増やす可能性が開けた。
審査の対象となった22行は全て、仮定のリセッション(景気後退)においても最小限の資本要件を上回った。5500億ドル(約79兆5600億円)余りの損失に耐えられることが示され、「大手銀行は深刻なリセッションに耐えられる態勢にある」と判断された。
FRBの推計では、これら銀行の普通株等ティア1(CET1)比率は1.8ポイント下がるものの、なお最低基準である4.5%の2倍を上回る。CET1は銀行の自己資本のうち、最も質の高い指標と見なされる。
年次ストレステストは2008年に起きた世界的な金融危機後に導入された。銀行が損失に備えて利益を留保せず、配当や自社株買いにどれだけ回せるかを判断する材料になる。大手銀行は近年、このテストをおおむね問題なく通過しているが、2022年には厳しいテストを受けた後に資本還元計画を縮小する銀行があった。
今年のテストでは、失業率が最高10%に達し、株価が50%下落、商業用不動産の価格が30%下がるシナリオが想定された。昨年のテストでは、失業率は同程度だが資産価格の下げがより大幅に設定された。
FRBは2024年の米経済が緩やかに減速したことなどを要因として、今年のテストでは比較的厳しくないシナリオでの貸倒損失が少なかったと指摘した。プライベートエクイティー(PE、未公開株)損失の減少と、純収入の増加も結果に影響したという。
キャピタル・アルファ・パートナーズ(ワシントン)のマネジングディレクター、イアン・カッツ氏は今回のテストが比較的穏やかなシナリオだったことを受け、銀行に求められる資本水準が下がり、配当と自社株買いを拡大する余地が生じるだろうと述べた。
各行は7月1日に自社株買いの計画を発表する見通しだと、FRB当局者は述べた。
原題:Large Banks Pass Fed’s Stress Test, Setting Stage for Payouts(抜粋)
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