(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、カナダとの貿易協議を全て打ち切ると表明した。カナダがデジタルサービス税の導入に動いたためとしている。トランプ氏は、1週間以内に新たな関税率を設定すると警告した。
トランプ氏は27日、ソーシャルメディアへの投稿で、「この極めて不当な課税に基づき、カナダとの全ての貿易協議を直ちに打ち切る。米国との取引に際してカナダが支払うことになる関税については、今後7日以内に同国に通知する」と記した。
ベッセント米財務長官はCNBCで、米政府がカナダに対して、通商法301条に基づく調査を開始する見通しだと語った。この調査は中国などに対しても実施されてきたもので、最終的に輸入品への関税引き上げにつながる可能性がある。
米国とカナダは世界でも有数の二国間貿易関係にあり、昨年の財・サービスの取引総額は9000億ドル(約130兆円)を超えた。しかし、トランプ氏の大統領選勝利以降、両国の関係は緊張を増している。
トランプ氏はカナダからの輸入品に対する25%の関税を示唆し、「カナダを米国の51番目の州にすべきだ」との発言を繰り返してきた。大統領就任後は、鉄鋼やアルミ、自動車などに関税を課している。
これに対し、多くのカナダ人が米国製品の不買運動や、米国への渡航回避で応じている。
カナダのカーニー首相は27日、テレビの記者の短いインタビューに応じ、トランプ氏とはこの日まだ話をしていないと説明。「カナダ国民にとって最善の利益になるよう、こうした複雑な交渉を引き続き進めていく」と語った。
トランプ大統領による上乗せ関税の一時停止措置が終了する7月9日を控え、多くの国が米国と交渉を進めている。だがそうした国々にカナダとメキシコは含まれていない。両国に対しては、合成麻薬フェンタニルの密輸や移民問題を理由に今年に入り関税が課されており、別枠で協議が行われている。
ベッセント氏は26日、主要7カ国(G7)との間で税制を巡る合意に達したことを明らかにした。これにより、米企業は他国から課される一部税金の対象から除外される一方、「報復税」と呼ばれる米内国歳入法899条項の提案がトランプ大統領の推進する大型税制法案から削除されることになる。ただこの合意には、一部の国が大手テクノロジー企業に課しているデジタルサービス税は含まれていない。
カナダのデジタルサービス税は1年前に発効済みだが、企業はこれまで支払いを求められてこなかった。同国財務省の発表によれば、最初の納付期限は30日となっている。
原題:Trump Ends Canada Trade Talks in Retaliation Over Digital Tax(抜粋)
(ベッセント氏の発言を追加して更新します。更新前の記事は、ベッセント氏による26日の発表がデジタルサービス税に言及していないことを明確し、訂正済みです)
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