トランプ米大統領は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の後任には利下げを望む人物を選ぶ意向を示した。これは中央銀行の独立性を揺るがすものだ。

トランプ氏は27日、記者団に対し「金利を今の水準に維持しようとか、そういう考えの人間は選ばない。利下げを望む人物を指名する。そういう人間はたくさんいる」と述べた。

さらに米金融当局が金利を据え置いたことを受け、パウエル氏に対する批判を一段と強め、「彼が辞任したいと思っているなら、大歓迎だ」とし、パウエル氏を「頑固で、愚かな人間」と非難した。

トランプ米大統領

トランプ氏は以前から、米金融当局に対し、利下げ圧力をかけており、パウエル氏を繰り返し批判してきた。米金融当局の政策が政府の借り入れコストを過度に高く引き上げていると主張している。

パウエル氏の議長としての任期は来年5月まで続く。トランプ氏はすでに後任候補を3、4人想定していると述べているが、ベッセント財務長官は、トランプ氏が後任を早期に指名する可能性があるとの観測を否定した。

ベッセント氏はCNBCで、FRBのクーグラー理事が来年1月に任期を迎えることに言及し、「次の議長に就く人物が1月に任命される可能性がある。その場合、10-11月に指名されることになるだろう」と述べた。

なお、議長としての任期とは別に、パウエル氏の理事としての任期は2028年までとなっている。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月17、18両日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定した。パウエル議長はその後、24日の下院金融委員会の公聴会で、利下げを急がない姿勢を改めて示していた。

原題:Trump Says He’ll Pick a Fed Chair Who Wants to Cut Rates (1)、Bessent Plays Down Speculation of Any Early Trump Fed Chair Pick(抜粋)

--取材協力:Kate Davidson.

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