(ブルームバーグ):アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ金融当局が先月、新興のヘッジファンド、マゼラン・キャピタル・リミテッドの拠点を捜索していたことが事情に詳しい関係者の話で分かった。幹部による投資損失の隠蔽(いんぺい)やリスク報告の妨害行為があったと元トレーダーが訴えたことを受けた対応だった。
ドバイ金融サービス機構(DFSA)は捜索の一環として、ノートパソコンや業務用の携帯電話を調べたほか、一部の従業員は会議室で事情聴取を受けたという。非公開の情報だとして、関係者が匿名を条件に語った。
捜索の数週間前、マゼランの元トレーダー、ブリトニー・ラム氏が、同社のシニアエグゼクティブオフィサー、アーメド・オマル氏に関する申し立てをドバイとロンドンの規制当局に対し行っていた。ラム氏は、オマル氏の行動に起因する「規制違反」があったと主張。ラム氏は昨年後半、同社を辞めている。
現時点で、DFSAが捜索を踏まえてどのような判断を下したかは明らかになっていない。DFSAは、調査を行っているかどうかについてもコメントを控えた。
マゼランは発表資料で、「第三者によるコンプライアンス(法令順守)および監査を含む強固なガバナンス体制の下、最高水準の専門性と倫理基準」に基づき事業を運営していると説明。今回の問題は、マゼランで「期待されていた基準に達しなかった元従業員を昨年解雇したことに端を発している」とコメントした。
マゼランは「現在、自己資本のみを運用しており、第三者の資産を管理していない」とし、「最終的な受益所有者は全ての業務とガバナンス、リスク管理を完全に把握・監督しており、ラム氏の主張は事実無根だと確信している」という。
同社はまた、社内通報制度も整備されているとし、リスク報告が妨げられていたとの指摘についても否定した。
ラム氏はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、マゼランを辞める前に「社内でこれらの違反について、取締役会やオーナーらへも含め3回報告を試みた」と述べた。
「人事の問題ではなく、規制下にある資産運用会社としての誠実性と責任の問題だ」と話し、自身については受託者責任を非常に重く受け止める「責任ある投資家」だと付け加えた。
マゼランは資料の中で、外部の法人による監査を受けており、報告内容は正確で、今回の疑惑浮上以後も報告の正確性が確認されていると反論している。
原題:Hedge Fund Magellan Capital’s Office Searched by Dubai Regulator(抜粋)
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