米プロバスケットボールNBAの元オールスター、ギルバート・アリーナス氏の息子で、 南カリフォルニア大学に進学予定の有望選手アリジャ・アリーナスさんが、米テスラの電動ピックアップトラック「サイバートラック」の事故について、初めて公の場で発言した。

アリジャさんは4月にロサンゼルスで起きた事故で、一時昏睡(こんすい)状態に陥り、サイバートラックの安全性の問題が新たに注目を集めた。25日の記者会見では、ハンドルが操作不能となり、消火栓に衝突したと事故当時の状況を説明した。

目を覚ますとサイバートラックが炎に包まれ、車内に煙が充満し、呼吸が困難になったという。窓の1枚を蹴破ったアリジャさんは、近くにいた人たちに車から救出された。煙を大量に吸い込み昏睡状態に陥ったが、1週間たたずに退院した。

アリジャ・アリーナスさん

テスラのサイバートラック用オーナーズマニュアルによると、車両の低電圧系統がダウンすると、車内からドアを開けるボタンが使用できなくなる。脱出するには、電源が落ちた場合に限って使用するよう設計された手動ドアリリースを用いる必要がある。

サイバートラックは、最近数年の米自動車市場で最も期待された新型車の一つだった。しかし販売開始から1年3カ月で8回のリコール(無料の回収・修理)が実施された。

今年3月に開始された直近の安全キャンペーンでは、スチール製の内装トリム部品が緩む危険があるとして、製造・販売された全てのサイバートラックがリコールされた。

サイバートラックが米運輸省道路交通安全局(NHTSA)から「五つ星」の衝突安全評価を得たとテスラはアピールし、最新の決算報告書にも衝突試験の画像を掲載した。

テスラのサイバートラック

アリジャさんの発言に関し、テスラにコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。

原題:Basketball Star’s Tesla Crash Shines Light on Cybertruck Safety(抜粋)

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