(ブルームバーグ):米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃後、キャンパス内の「反ユダヤ主義的な敵対的環境」に適切に対応しなかったとして、講師と元学生が大学側を相手取り連邦裁判所に提訴した。
原告はユダヤ系イスラエル人で数学講師のリオール・アロン氏と、ユダヤ系の元博士課程学生ウィリアム・サスマン氏。両氏は憎悪の「急激な高まり」に大学側が対応を怠ったことで、学生生活への参加が困難となり、教育・職業面での機会を奪われたと主張している。
ボストンの連邦地裁に提出された25日付の訴状では「これらの出来事は、リーダーシップと説明責任が欠如したまま反ユダヤ主義が根を張り、深刻化しているMITキャンパスでのより大きな問題を表している」とした。
MITの広報担当サラ・マクドネル氏は、大学側が法廷で訴えに反論する方針だと述べ、「MITは反ユダヤ主義を断固として拒絶する」とコメント。同大学のサリー・コーンブルース学長は23年のハマスによる攻撃後のビデオ声明で「反ユダヤ主義は現実に存在し、世界中で拡大している。われわれのコミュニティーがそれに侵されることはあってはならない」と語っていた。
今回の訴訟でアロン氏とサスマン氏はMITに対し、反ユダヤ主義的行為に対する差別禁止およびハラスメント規則の適用を義務づける裁判所命令を求めている。訴訟には反ユダヤ主義と闘う団体も原告として加わっている。
アロン氏はまた、MITの教授によって自身に対する「虚偽の中傷キャンペーン」がネット上で展開され、それが公の場での「攻撃的な」対立を招いたと主張し、名誉毀損(きそん)でも訴えている。
原題:MIT Sued by Student, Instructor Claiming Campus Antisemitism (1)(抜粋)
--取材協力:Greg Ryan.
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