(ブルームバーグ):米メタ・プラットフォームズは人工知能(AI)戦略への投資規模を拡大し続けており、トレーダーはこうした巨額投資が引き続き成果をもたらすと期待して歓迎している。
メタの株価は4月の安値から約45%上昇し、再び上場来高値に迫っている。先週、メタはAIスタートアップのスケールAIへの出資を決定。関係者によると、出資額は143億ドル(約2兆900億円)に上る。スケールAIのアレクサンドル・ワン最高経営責任者(CEO)は、汎用(はんよう)AIの実現を目指すメタのチームに加わる。同チームはメタのマーク・ザッカーバーグCEOが設置した。
またメタは4月末に2025年の設備投資見通しを最大720億ドルに引き上げた。
「オールスプリングLTラージ・グロースETF(上場投資信託)」を運用するジェイク・セルツ氏は「巨額な支出に懸念を持つ向きもあるが、メタはAIによって売り上げを伸ばし、成長を加速させられるとわれわれは確信している」と指摘。「これはメタが業界トップの地位の維持に必要な投資に本気で取り組んでいることを示している。株価はかなり上昇したが、長期的な成長余地に依然強気だ」と述べた。
メタの株価は16日に2.8%上昇で終了。同社はこの日、メッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」で広告表示を開始すると発表した。
メタ株は、AI関連銘柄全体に対する投資家の関心回復とともに反発してきた。決算シーズンを通じて、大手テック企業の設備投資縮小に対する市場の懸念が後退したことが追い風となった。年初には、中国で開発された低コストのAIモデルへの懸念から、エヌビディアなどが売られる局面もあった。

メタはインスタグラムやワッツアップなどの広告のターゲティング精度向上やユーザーエンゲージメント強化にAIを活用している。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、同社はAI技術による広告制作の完全自動化も目指しているという。
ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ダン・サーモン氏は、生成AIによる広告制作ツールが実現すれば、メタの年間広告収入の伸び率は数年にわたり年1-2ポイント、2030年までに最大4ポイント押し上げられる可能性があると試算する。
ただ、AIの長期的なプラス効果は広く認められているものの、メタの株価の短期的な上昇余地については見解が分かれている。メタ株の現在の予想株価収益率(PER)は25倍と、他のテック大手よりは割安だが、過去10年平均(約22倍)を上回っている。
ブルームバーグが調査するアナリストの約9割がメタの投資判断を「買い」としているが、現在の株価が目標株価の平均に接近していることから上昇余地は限定的との見方もある。
カーネギー・インベストメント・カウンセルの調査ディレクター、グレッグ・ホールター氏は「妥当な価格で堅調な伸びが見込めるので、この銘柄は依然買いの範囲内にある」とした上で、「とはいえ、こうした上昇トレンドはいつまでも続くものではない。少し前のような絶好の買い場ではもはやないことは確かだ」と述べた。
原題:Meta Investors Cheer as Zuckerberg Doubles Down on AI Commitment(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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