(ブルームバーグ):ステーブルコインは、金融の世界で最も注目されているトピックの一つとなっている。ドルなどの法定通貨と連動させることで安定性を高めた暗号資産(仮想通貨)であるステーブルコインを巡っては、初のガイドライン策定に向けた審議が米議会で大詰めを迎えている。
決済システムの高速化やコスト削減などが期待されているステーブルコイン。銀行や証券会社、フィンテック企業などあらゆる企業が活用を試みている。13日のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、ウォルマートやアマゾン・ドット・コムも独自のステーブルコイン発行を検討しているという。
ウォルマートの広報担当者はWSJ紙の報道についてコメントを控えた。アマゾンの担当者はコメントの要請に返答していない。
小売業者の多くは、ビザやマスターカードといった決済ネットワークとの手数料を巡る長年の対立で、ステーブルコインが交渉の新たな切り札となると期待しているようだ。

米国では、消費者の多くが便利でポイントの特典も付くクレジットカードやデビットカードを利用している。一方で小売業者にとっては、銀行や決済ネットワークに支払う手数料や着金までに数日を要する点が負担になっている。
全米コンビニエンスストア協会の法務担当責任者、ダグ・カントール氏は「ここまで手数料が高い理由は、ビザとマスターカードが全国の銀行を事実上の価格カルテルとして組織化し、手数料の請求額を指示しているからだ」と主張。「本来であれば競争すべき銀行同士が、カード決済を受け付ける加盟店への手数料を巡って競争をしていない」と述べた。
こうした中、決済ネットワーク各社はステーブルコインを使った決済のインフラ整備に向けた取り組みを進めていると説明。ビザは昨年、法定通貨を裏付け資産とするステーブルコインを発行する銀行を支援するプラットフォームを立ち上げると発表した。マスターカードは最近、ステーブルコインによる決済をサポートする機能を追加している。
マスターカードは、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、ジョーン・ランバー最高製品責任者(CPO)の過去の発言を参照するよう求めた。ランバート氏は、この中でステーブルコインの決済機能について、「変化の激しい世界において重要な手段であり、選択肢の提供を通じて人々や企業に自由をもたらす」とコメントした。
ビザの担当者はコメントの要請に返答しなかった。
決済手段として地位を築くには課題も
ステーブルコインを活用しようとする動きが広がる中、投資銀行キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のマネジングディレクター兼上級アナリストのサンジェイ・サクラニ氏は課題を指摘する。
サクラニ氏は、小売業者にとってステーブルコインによる即時決済は魅力的だが、仕入れ先への支払いなどに使用できないとメリットにならないと指摘する。
さらに、クレジットカードの利用に慣れた消費者がステーブルコインを使って決済することの利点を感じられるのかも課題だ。
ステーブルコインにはクレジットカードのようなポイント特典がなく、暗号資産のウォレットの開設に手間がかかる。サクラニ氏は、「決済コストの小ささや決済時間の短縮は小売業者に恩恵があるが、消費者にとってはほとんど意味がないものだ」と話す。
原題:Retailers Seen Using Stablecoins to Push Back Against Card Fees(抜粋)
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