16日の日本市場では株式が反発し、日経平均株価の上げ幅は一時500円を超えた。為替の円高一服や海外原油市況の続伸を材料に輸出や素材、資源関連の一角が上げ、米国政府がUSスチールの買収を承認した日本製鉄など鉄鋼株も堅調。

円は対ドルで一時144円台後半に下落。債券は米長期金利が上昇した流れに加え、リスク回避で前週末に買われ過ぎた反動から下げた。

イスラエルとイランの軍事衝突を受け、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は13日に7%余り上昇し、2022年3月以来最大の上げを記録。アジア時間16日も続伸した。

東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、前週末はイランによるホルムズ海峡封鎖という最悪シナリオまで織り込んだが、イランがそこまで感情的になっていないことは日本株のプラス材料だと指摘。また、この2、3年は原油とドルの関係では原油が先行しており、原油価格の上昇はドルの反転を示唆していると述べた。

株式

東京株式相場は3営業日ぶりに反発した。為替市場の円高進行が一服し、電機や機械、輸送用機器など輸出関連、繊維や非鉄金属など素材株の一角が上昇。アドバンテストはJPモルガン証券の格上げ、IHIなど防衛関連は日欧の防衛産業協力に向けた初会合を開くとの報道が材料視された。日本製鉄など鉄鋼株、資源関連セクターの海運や商社も堅調。

ロンバード・オディエ・シンガポールのシニアマクロストラテジストを務めるホーミン・リー氏は、市場の落ち着きはイスラエル、イラン双方の空爆が比較的抑制されたことへの安堵(あんど)感を反映している可能性があると指摘。ただ、アジア市場が中東情勢を完全に無視できるかどうか判断が難しいとも述べた。

プライム市場の売買代金は4兆712億円と前週末比22%減少。前週末は株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)算出の影響もあったが、あすの日本銀行の金融政策決定会合の結果発表を前に投資家の様子見姿勢もうかがえ、先物主導で指数の上げが目立った側面も強かった。

為替

東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=144円台後半に下落。中東での紛争拡大懸念が強まる中、原油価格の上昇を受けドル買い・円売りが優勢となったが、145円に近づいたことで次第に戻り売りも増え、ドルの上値は重くなった。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは「原油高が続けば日本の貿易赤字が拡大し、円売り圧力が強まる」と指摘。一方、中東問題でリスクセンチメントが悪化し、株価が急落すれば円が買われるとの見方も示していた。

SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長も「インフレ懸念によって米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のくとみられ、ドルがしっかりしやすい」と指摘。もっとも、ドル・円の「145円台は重いという認識が強く、その水準を思い切って買う発想はまだない」と言う。

債券

債券相場は下落。イスラエルとイランの衝突により原油先物価格が急伸し、米長期金利が上昇したことを受け売りが優勢となった。前週末にリスク回避で大幅に買われた反動の売りも広がった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、日銀が17日に公表する国債買い入れ減額計画の中間評価と、財務省が20日に開く国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合は「おおむね織り込まれ、新たな買い材料にはなりにくい」と分析。買い入れ減額ペースの鈍化と超長期債の発行減額が市場コンセンサスを下回れば、「失望売りが出る」と警戒感を示した。

モルガン・スタンレーMUFG証券のストラテジストの杉崎弘一、上里啓両氏はリポートで、超長期債の発行減額は各年限と残存期間15.5年超39年未満の流動性供給入札を1回当たり1000億円減額するのが市場コンセンサスと説明。コンセンサス通りなら超長期の金利リスク量の増加トレンドを止めるには不十分で、「失望感から再度超長期債が売られる地合いは否定できない」としている。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:長谷川敏郎、我妻綾.

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