トランプ米大統領の関税政策は、米国内への製造業回帰という狙いを実現しているとは言いがたいが、企業からの愛国的な表現が目立つようになっている。少なくとも決算説明会の場では、企業幹部がそうした姿勢を前面に打ち出している。

第1四半期の決算説明会では、「米国製」という信頼性や国内生産能力に関する言及が過去最多となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、S&P500種株価指数の構成銘柄が国内生産に言及した回数は200回余りとなり、過去25年間の1決算シーズン平均の約50回を大きく上回った。

口で言うのは簡単だが、実際に米国内に投資することとは別問題だ。愛国的な熱意は見られるものの、企業が新たな国内施設を着工した証拠は乏しい。

 

DAデビッドソンで建設・エンジニアリング業界を担当するブレント・ティールマン氏はインタビューで、「米国内での投資について製薬会社などから逸話的な発表があった」としつつも、「それが実現するかはまだ分からない」と語る。

トランプ氏が勝利した大統領選以降、アップルやIBM、イーライリリー、ブリストル・マイヤーズスクイブなどの企業が数千億ドル規模の対米投資を表明している。だが、それらの多くは新たな取り組みではなく、従来の投資計画に沿ったものだ。

PR会社、ハイワイヤーのエミリー・ボーダーズ最高顧客責任者(CCO)は、関税への対応として新規プロジェクトを打ち出すことは後手の対応と受け取られかねないが、すでに進行中のプロジェクトを強調することは不透明な時代に投資家の不安を和らげる狙いがあると指摘した。

原題:Most Patriotic Earnings Season Yet as US Firms Pander to Trump(抜粋)

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