ウォルト・ディズニーとコムキャストは、人工知能(AI)画像生成スタートアップ、ミッドジャーニーを相手取り著作権侵害で提訴した。米メディア大手と新興AI企業との緊張の高まりが鮮明になった。

2022年に公開されたミッドジャーニーは、文章による指示(プロンプト)に基づき画像を生成するAIサービスを提供する。競合の「ChatGPT(チャットGPT)」や「スタビリティAI」と同様、インターネット上の画像を広範に収集したデータセットを基にモデルを構築している。こうした手法について、AI企業側は米国著作権法における「フェアユース(公正利用)」の原則にのっとっていると主張しているが、クリエイター業界などからは強い反発が出ており、訴訟も相次いでいる。

原告のディズニーと、ユニバーサル・スタジオを傘下に置くコムキャストは11日にカリフォルニア州の連邦地裁に提出した訴状で、映画やテレビ作品に登場する自社キャラクターの著作権がミッドジャーニーに侵害されたとする複数の事例を提示。「スター・ウォーズ」や「ザ・シンプソンズ」「シュレック」「ミニオンズ」などの著作権が侵害されたと主張した。

両社は提訴前にミッドジャーニーに使用中止を求めたが要求は無視されたという。裁判では著作権侵害1件当たり15万ドル(約2200万円)の損害賠償を求めている。

ミッドジャーニーの広報担当者はコメント要請に対し、現時点で回答していない。

今回の訴訟は、他者が作成した大量のテキストや画像、動画を学習データとするAIモデルの合法性を巡る議論に一石を投じるものだ。著作権を持つ既存のメディア企業は、AI企業がこうした学習の対価を適切に支払うべきだと主張している。

AIが脚本家や俳優の仕事を代替する可能性は、ハリウッドで2年前に起きたストライキにおける主要な争点で、最終的に労働組合側は一定の保護措置を獲得した。

デービッド・ホルツ最高経営責任者(CEO)が創業したミッドジャーニーは、小規模なスタートアップながら時代の文化的精神への影響力は大きい。前のローマ教皇フランシスコがダウンジャケットを着ている画像や、トランプ米大統領が逮捕されるフェイク画像など、話題となるAI生成画像を多数生み出してきた。

ミッドジャーニーのサーバーは現在、2100万人余りのメンバーを抱える。

原題:Disney, Comcast Sue AI Image Generator Midjourney(抜粋)

--取材協力:Rachel Metz.

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