(ブルームバーグ):主要7カ国(G7)は15日からカナダ西部カナナスキスで開く首脳会議(G7サミット)で、首脳共同声明の発出に向け合意形成を目指さない方針だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ウクライナ支援や気候変動などの問題で米国と他の主要国を隔てる深い意見相違を追認する格好となる。
協議の非公開を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、G7首脳は一つの文書ではなく、複数のテーマごとに個別の首脳共同声明を発出する可能性が高い。議長国カナダが選好するアプローチという。
カナダのカーニー首相は、トランプ米大統領と各国との間に生じる緊張を緩和し、貿易と安全保障に関する協議を進展させたい考えだ。
首脳共同声明に法的拘束力はないが、グローバル規模の重要課題について各国首脳の結束を示す「基本方針表明」の意味合いがある。昨年のG7サミットでは、ウクライナ支援や気候変動対策、ジェンダー平等の推進を約束する内容が盛り込まれた。
それら全ての問題で米政府の方針を転換したトランプ大統領は、ロシアが侵攻するウクライナに対する明確な支持表明を拒み、気候変動のイニシアチブを撤回し、ジェンダー平等の取り組みも否定した。
カナダが議長国を務めた2018年のG7サミットでは、トルドー首相(当時)の記者団への発言に反発したトランプ氏が、署名からわずか数時間後に共同声明を承認しないと表明した。カーニー首相としては、その二の舞を避けたい意向だ。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のディレクター、ケイトリン・ウェルシュ氏は「今年のG7サミットに向け、トランプ政権は、ほぼ間違いなくに悪い合意より合意がない方がましと考え、基本に戻ったG7へのアプローチを引き続き好んでいる」と指摘した。
原題:G-7 Tries to Avoid Trump Conflict by Scrapping Joint Communique(抜粋)
(専門家の見解などを追加して更新します)
--取材協力:Nick Wadhams.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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