(ブルームバーグ):米国のインフレ率は5月にやや上昇したとみられ、その背景には輸入品への関税転嫁の影響があるとエコノミストらは指摘している。
ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、11日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)コア指数は前月比0.3%上昇と、4月の0.2%上昇から加速した見込み。前年同月比は2.9%上昇となり、今年に入ってからの減速基調が途絶える見込みだ。

パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トムズ、オリバー・アレン両氏はリポートで、「関税による5月の価格上昇は一部の品目にとどまるとみられるが、6月は状況が変わるだろう」と予想した。
エコノミストらは、トランプ米政権による関税の影響が、これまで企業によるコスト吸収や導入前に仕入れた在庫の活用によって抑えられてきたものの、徐々に消費者価格へ転嫁されつつあるとみている。
ウォルマートなどは既に一部商品の値上げを開始したと明かしている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のスティーブン・ジュノー、ジェセオ・パーク両氏は、4月にはオーディオ機器価格の前月比8.8%の値上がりが最も顕著な例だったが、今後は影響が広がるだろうとの見方を示した。
衣料品や新車、家電製品などに影響が表れそうだ。
ウェルズ・ファーゴのサラ・ハウス、ニコール・セルビ両氏は「関税前の在庫確保や関税規模が縮小されるという期待が、これまで価格抑制に寄与してきた。しかし、高関税の状況が続けば、消費者への転嫁を避けるのは難しくなる」と分析した。
原題:US Inflation Seen Picking Up With Some Tariff Pass-Through(抜粋)
--取材協力:Augusta Saraiva.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.