筆者(ブランドン・プレッサー)は、ブルームバーグのシティーガイド「Two-Night Minimum」シリーズ向けに世界12都市を1年半かけて取材してきたが、旅行プランを考える上で最も難しいのが京都だった。

その理由の一つは、人の流れだ。多くの都市では、観光客と地元住民それぞれの流れが交差する。例えば話題のレストランなどがその接点になる。しかし京都では、この2つの流れがほとんど交わらない。

小都市ならではの人の親密なつながりを保つため、地元向けに存在する非公開の店という独自のエコシステムが築かれている。例えば、検索すれば出てくるのに、常に「満席」と表示される飲食店やバーだ。実はオーナーと知り合いなら入れたりする。

この壁を乗り越えるのに役立ったのが、オードリー・トラベルの京都を拠点とするガイド、ダンカン・フレット氏だ。同氏はわずか2時間で、私が抱えていた障壁の一部をクリアする手助けをしてくれた。

日本の旅行を満喫する秘訣の一つとして、ガイドを雇うことを私は強く勧めたい。目的は歴史講義ではなく、地元の人々との間に築いてきた関係性の中に連れて行ってもらうことだ。

京都が難しいもう一つの理由は、訪れるべき場所があまりにも多過ぎることだ。加えて、雑誌でもブログでもソーシャルメディアでも、紹介されるのは同じ名所が多く、それ以外の選択肢を見つけにくい。

しかし、京都にはあまり知られていない魅力的な場所が多い。例えば、市内には2000もの神社仏閣が存在している。旅情を満たすために、有名な4つの寺を巡るだけではもったいない。

では、お勧めを幾つか紹介しよう。

岡崎神社 

子宝を願う人々が訪れるこの神社は実は、市内屈指の美しい都市型ウォーキングルートの出発点でもある。

道中では、京都最大級の墓地の一つを通り抜けることになり、何千もの墓石が段々に並ぶ迫力ある斜面を登っていくと、やがて真如堂に到着する。

季の美

日本酒を一通り体験後、ジンの愛好家ならぜひ足を運びたい。地元産のボタニカル(植物由来原料)を使った上質なカクテルが楽しめるスポットで、抹茶や金箔入りといった日本らしいドリンクもある。

見逃せないのが、階上にある小さなミュージアムだ。世界的に注目されている人気ジンブランドの蒸留プロセスが紹介されている。

あじき路地

京都の友人数人に同地の本質を最もよく表しているのは何かと尋ねたところ、一人が「秘密の路地」と答えた。あじき路地は隠れているわけでもないのに見つけにくい私のお気に入りだ。小さな工房・ショップ数件とカフェがある。

アトリエひふみ

京都には数えきれないほどの個人経営のアトリエや体験スポットが存在する。 日置美緒氏のAtelier Hifumiでは、漆と金粉を使って割れた陶磁器などを修復する「金継ぎ」を、英語で丁寧に教えてくれる。

狸谷山不動院

見過ごされがちな名所級の寺院だ。まずは詩仙堂からスタートしよう。ここには息をのむような庭園がある。そこから山道を登って狸谷山不動院に到着すると、まるで京都の人気名所のエッセンスを詰め込んだような景色が広がる。

朱塗りの鳥居は伏見稲荷大社を思わせ、山の斜面に沿って建つ長い木造の舞台付きの縁側は清水寺を彷彿(ほうふつ)とさせる。

八文字屋

クリエイティブな人たちが集まる憩いの場。店内には所狭しと何千冊という本が積み上げられ、その隙間でバーの時間を過ごす。本の多くは店主である甲斐扶佐義(かい・ふさよし)氏によるフォトジャーナル作品で、購入も可能だ。

再訪時の楽しみ方

一度訪れた場所にもう一度戻ってみることをお勧めしたい。まったく新しい旅程を組みたくなるのは理解できるが、再訪問してみると魔法のような体験が待っていることがある。

自分の場合は料理店「草喰なかひがし」を再訪。2回目の訪問だと伝え、京都・大原で採れる食材に強い興味を持っていると話すと、店主の中東久雄氏が大原の野山や畑に同行させてくれた。

原題:Traveling to Japan? Don’t Make These Mistakes: Pursuits Weekly(抜粋)

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