ロンドン金属取引所(LME)はエネルギー取引会社マーキュリア・エナジー・グループに対し、同社が抱えるアルミニウムの大規模なポジションを他のトレーダーに貸し出すよう促した。市場へのリスク低減が目的だと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

この関係者によると、マーキュリアが持つ6月限のポジションはLME指定倉庫のアルミ在庫を継続的に大きく上回り、その在庫の大半も既に同社が保有する。このためマーキュリアが期日までポジションの保有を続けた場合、ポジションをショートとしているトレーダーが引き渡しに必要なアルミを確保できない恐れがある。

この動きは金属市場に進出し大胆な手法を繰り返すエネルギー取引大手に対して、市場を監視するLMEがより強硬なアプローチを取り始めたことを示す。マーキュリアと競合するビトル・グループやガンバー・グループも大規模なポジションを取り、LMEのアルミ市場を最近揺るがした。

LMEの市場での行動は、介入しても、しなくても議論を呼ぶことが多い。2022年にはニッケル相場への対応が遅れて極端なショートスクイーズ(踏み上げ)発生を許し、数十億ドル規模の取引を取り消すという前代未聞の事態も発生した。

LMEには、トレーダーによる市場の独占を防ぐための規則が設けられているが、それらの規則はあくまで、在庫と数日以内に期日を迎える先物の支配的ポジションに限定されている。はるかに取引額が大きく、毎月第3水曜日が期日の月次先物は対象となっていない。

LMEはマーキュリアにポジションの貸し出しを求める上で、市場の「望ましくない状況」を防ぐための広範な権限を活用したと、関係者は説明。LMEの規則によると、「市場の独占や望ましくない状況、望ましくないか不適切な取引慣行が生じる、あるいは生じる恐れがある」場合、必要と見なされるあらゆる措置をとる権限を同取引所の特別委員会に認めている。

マーキュリアのポジションが何らかの規則に違反したという示唆はない。LMEが月次先物のポジションの貸し出しをトレーダーに求めたのは初めてではないと、関係者は述べた。

それでも、マーキュリアのポジションは異常に大きい。取引所のデータでは、今月2日まで6月限の建玉の40%余り、アルミ86万2000トン強相当を1社が保有していた。3日までにこのポジションは30-39%、アルミ60万-80万トンに低下した。

一方、LME指定倉庫の在庫は32万トンをやや上回るに過ぎず、その90%余りを1社が保有していると、LMEは説明。関係者によると、この「1社」はいずれもマーキュリアだ。

 

マーキュリアのポジションは依然として極めて大きいが、貸し出しにより市場は落ち着いている。6月限と7月限のスプレッドは、過去1カ月にわたり期近物が期先物と同じかそれより安いコンタンゴ(順ざや)だったが、両限月の価格が並んでいたところでLMEはマーキュリアに指示を出したと、関係者は語った。

マーキュリアの広報担当者はコメントを控えた。

原題:LME Intervenes to Make Mercuria Roll Huge Aluminum Position(抜粋)

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