提出されれば衆院解散も 内閣不信任案は出す?出さない?

通常国会の終盤に野党が内閣不信任決議案を提出するのはこの時期の“風物詩”とされてきたが、今回は少数与党となり状況が異なる。野党が一致すれば不信任案は可決されるため、石破総理は憲法の規定により内閣総辞職か衆議院の解散を迫られる。石破総理は不信任案が提出された場合には、採決をまたず衆院を解散することも検討している。解散すれば夏の参院選挙とのダブル選挙となる可能性が高い。

自民党幹部から「不信任案が可決されれば国民に堂々と信を問うべきだ」(鈴木俊一総務会長)と主戦論もあがるが、その背景には野党、とくに提出主体となる立憲民主党に対し提出しないよう牽制する意味合いが強い。

さらに、今国会を通して少数与党の“悲哀”を散々味わった自民党幹部は、チャンスがあれば解散をうって、衆議院で少数与党から脱したいという思いも強い。

これまで述べてきたとおり、内閣支持率は底を打った感があり、“小泉効果”による今後の期待感も出てきている。少し前まで脅威だった国民民主党も失速している。今、選挙をしても、与党がそんなに負けないのではないかと見る向きが自民党内にある。

世論調査では「提出すべきではない」がやや上待っているがほぼこちらも拮抗している。

一方、立憲民主党の野田代表は不信任案提出について「総合的に判断する」としつつ、“トランプ関税”への政府対応を鑑み、不信任案を提出することで「政治空白をつくらせることが責任ある態度か」と消極的な態度をとってきた。与党と年金改革関連法案について党首会談で合意し、審議を重ねている最中でもある。

さらに、立憲の議席数(148)だけでは過半数(233)に達しないため、可決するには維新(38)や国民民主(27)などの賛同を得る必要がある。野党をまとめきれず不信任案が否決されれば、野田代表の責任論につながる恐れがある。なにより“衆参ダブル選挙”となれば、候補者擁立や各党との調整、資金繰りなど、高いハードルがあり、そのトリガーを引くことに野田代表自身いま相当迷っているのだろう。

与党と立憲が合意した年金改革法案が成立するのが最短13日、その後石破総理がG7サミットにむかい不在となるため、総理が帰国した18日~20日までの間に、提出するかどうか。国会は最大のヤマ場を迎えることになる。

【6月JNN世論調査の設問と回答】
●石破内閣の支持率は34.6%(前回調査より1.3ポイント上昇)。不支持率は62.0%(前回調査より0.1ポイント下落)

●政党支持率は、自民党24.3%(前回より0.8ポイント上昇)、立憲民主党8.2%(前回より2.6ポイント上昇)、日本維新の会2.3%(前回より2.0ポイント下落)、国民民主党6.8%(前回より3.4ポイント下落)。

●5キロ2000円前後の21年産米と22年産米の備蓄米について「是非買いたい」は17%「どちらかといえば買いたい」は31%「あまり買いたくない」は26%「全く買いたくない」は22%。

●今後備蓄米以外の銘柄米などの価格は「下がると思う」が35%、「下がらないと思う」が56%

●今後のコメの増産に「賛成」は88%、「反対」は5%

●年金改革法案をめぐり基礎年金の底上げを「盛り込むべき」は40%、「盛り込むべきではない」は41%

●望ましい政権のあり方は「自公政権の継続」は43%、「今の野党を中心とする政権に交代」は41%

●ほかの政党を自公連立に加えるとしたらどこが望ましいかについて「立憲民主党」16%、「日本維新の会」14%、「国民民主党」16%、「それ以外の党」12%、「少数与党のままでいい」30%

●野党が結束して内閣不信任案を「提出すべきだ」40%、「提出すべきではない」45%

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。5月31日(土)、6月1日(日)に全国18歳以上の男女2385人〔固定834人、携帯1551人〕に調査を行い、そのうち44.3%にあたる1056人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話507人、携帯549人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査へのご理解、ご協力よろしくお願いします。

TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作