シンガポールで開催されたアジア安全保障会議「シャングリラ対話」で、アジアの米同盟国は、ヘグセス米国防長官の訪問を前に警戒を強めていた。これに先立つ3月、欧州の同盟国が軍事費や言論の自由、ウクライナでの戦争を巡りバンス米副大統領から激しく非難された経緯があった。

ところが、トランプ米大統領のSNS投稿を巡る不安が絶えないのはさておき、ふたを開けてみると懸念する理由はほとんどなかった。

ヘグセス長官は、欧州と同等に防衛費を引き上げるよう求めるトランプ氏の要求をアジア同盟国に伝えるとともに、これに関し中国による台湾侵攻の「差し迫った」可能性に備えるため必要だと警告した。

その上で、米国がアジア地域から追い出されることはなく、同盟国やパートナーが「従属・威嚇」されることを許容しないと述べ、多くの参加者から称賛を受けた。

ヘグセス氏

ただ、そのヘグセス氏も、トランプ氏の予測不能な政策運営に対する懸念は払拭しきれなかった。アジアや欧州から参加した軍高官や防衛相、情報当局者らは、トランプ氏の関税措置によるショックから依然として脱していない。こうした参加者は、米国が中国に対抗する上で重要な役割を担う。

オーストラリア国立大学国家安全保障カレッジのトップ、ローリー・メドカルフ氏はヘグセス氏について「米国がインド太平洋地域に引き続き関与し、中国の威圧的な脅威に対抗する姿勢を保つことについて、同盟国やパートナーに必要な安心感を与えた」と指摘。その一方で「ワシントンで見られる機能不全によって、このメッセージの価値は薄れてしまうだろう」と語った。

今回の会議では、中国は2019年以来初めて国防相を派遣しなかった。ヘグセス氏はこの状況も利用することができ、中国の参加者は劣勢に立たされることとなった。

これにより米当局者は主導権を握り、カンボジアやタイ、インドネシアといった国々との連携強化を約束する余地も生まれた。また米国のパートナーにとっては、中国に貿易を依存していながらも、中国を批判しやすい状況となった。

原題:Hegseth Wins Praise But Asia Still Has Strong Doubts About Trump(抜粋)

--取材協力:Alastair Gale、Courtney McBride、Alfred Cang.

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