サウジアラビアの首都リヤドに降り立ったトランプ米大統領を出迎えたのは、公式な肩書を除けば、あらゆる意味で「国王」と言えるサウジの指導者だった。

トランプ大統領が13日に到着する際の演出は入念に準備された。サウジのムハンマド皇太子(39)が体調不良の父サルマン国王の代理を務め、いずれ王位を継承することについて、王族と最も重要な同盟国の米国から全面的支持を得ているというメッセージの発信が狙いだ。

トランプ氏は13日遅くの演説でムハンマド皇太子について、「われわれは世界中に素晴らしいパートナーがいるが、私の目の前にいる紳士ほど強力な人物はいない。私は彼が大好きだ」と発言。皇太子の要請に応じ、米国の対シリア制裁を解除すると明らかにした。

サウジが手頃な価格で原油を供給し、米国が安全保障を提供するという両国の長年の関係が、ここ数年は幾分ほころびを見せ始めていた。

サウジの著名な論客であるアブドゥルラフマーン・ラーシド氏は「トランプ氏とサウジ指導部は、新たな戦略的合意を築き上げつつある」と有力紙アッシャルク・アルアウサトに寄稿し、「特別な訪問」だと歓迎した。

21世紀の経済・安全保障・防衛の同盟関係を支えるのは、ムハンマド皇太子だという隠されたメッセージが読み取れる。

英国学士院の特別研究員マダウィ・ラシード氏は「王族の最高位クラスである皇太子のプレゼンスは、米国とサウジとの関係の重要性を確認し、中国に軸足を移すとの見方を打ち消すものだ」と指摘した。

首脳会談が行われるヤマーマ宮殿に到着したトランプ大統領とムハンマド皇太子

原題:Saudi King-to-Be Marks Ascent With Gilded Welcome for Trump (1)(抜粋)

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