米国を侮らず商品開発を
米国の掃除機は「でかくてがさつ」から脱却したのに、自動車だけは脱却できないはず、わが国で日本車は今後も安泰と落ち着いていてよいものだろうか。昨今はわが国においてもミニバンのように大きな車に乗る人が増えてきているし、一方、軽自動車は日本車でなくてはならないということもないだろう。
振り返れば手のひらの上でメッセージを送るような携帯端末は、いかにも繊細な日本企業のお家芸であったように感じるのだが、その機能は米国発祥のスマホが担うようになって久しい。米国でスマホが開発されていた頃、わが国では必死になって世界一薄いガラケーを作ろうとしていた、というのはよく聞くところで、時代から取り残される結果となった。
わが国を米国車が走りまわる日が実際に来たならば、そのとき、何がわが国の得意産業であるのだろうか。想像することさえ少し恐ろしい。米国から貿易に関して要求されることなどなく「基地だけ貸してくれたら問題なし」といった国になっているのかもしれない。
そうならないためには、スティーブ・ジョブズのような天才の登場まで期待するのは難しいとしても、米国を侮ることなくダイソンが過去に行ったような商品開発を進める日本企業でなくてはならない。残念ながら筆者のような保険研究員が実際にできることはないので、こう言うしかない。自動車産業に限定することなくガンバレ!ニッポン!!
(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 磯部広貴)