(ブルームバーグ):資産家スティーブ・コーエン氏がニューヨーク市クイーンズ地区に80億ドル(約1兆1400億円)を投じて計画するカジノとエンターテインメントの複合施設プロジェクトは、実現に向けた重要なハードルをクリアした。
大リーグのメッツを所有するコーエン氏は、チームのホームグラウンドであるシティ・フィールドの隣を建設地としてこのプロジェクトを計画している。ニューヨーク州上院委員会は29日、4対3でこのプロジェクトに関する法案を可決した。
かつてはラモス上院議員(民主)が反対を表明し、プロジェクトは難航した。しかしクイーンズ地区のリウ上院議員(民主)が関連法案を今年提出し、流れが変わった。この日可決された同法案が上院本会議で可決されれば、あとはホークル州知事の署名を待つばかりとなる。
ニューヨーク市とその近郊で発行されるカジノライセンスは最大3件。コーエン氏を含め10人ほどが取得を狙っており、申請期限は6月27日。州当局による選定は年内に行われる。
コーエン氏は2020年にメッツを24億ドルで買収。23年にはハードロック・インターナショナルと提携し、複合カジノ施設「メトロポリタン・パーク」構想を発表した。施設には20エーカーの新たな公園と、運動施設、交通インフラの駅、地元の業者が出店するフードホールが含まれる。年間で19億ドルの売上高が見込まれると専門家は分析する。
メトロポリタン・パークの広報担当者カール・リケット氏は「数十年間駐車場だった50エーカー」が委員会の法案可決によって、「25エーカーの公共公園に変身し、労組組合員2万3000人の雇用を創出し、新たな娯楽の選択肢と10億ドル余りをクイーンズ地区に貢献する」ための一歩を踏み出したと声明で述べた。
ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、コーエン氏の純資産は173億ドル。同氏はカジノ構想実現に向けて数百万ドル規模のロビー活動を展開し、夫人のアレクサンドラ・コーエン氏とともに2018年から480万ドル余りを州レベルの候補者や委員会に寄付してきた。
カジノライセンス収入はニューヨーク州都市交通局(MTA)の運営財源にもなり、2026年から収支均衡を達成する一助になる。
ニューヨーク市・近郊地区のカジノ案には、シーザーズ・エンターテインメントとSLグリーン・リアルティーによるタイムズスクエア案と、リレーテッドとウィン・リゾーツによるハドソン・ヤーズ案のほか、トランプ大統領がかつて運営していたゴルフコースに隣接したブロンクスを立地としたバリーズの構想がある。
原題:Steve Cohen Clears Key Hurdle for $8 Billion New York Casino (2)(抜粋)
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