投資家は長らく、市場に不気味な気配が見られてもリスク資産に資金を投じてきた。だが、ここにきて安全資産に一部の資金を移し始めている。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の集計データによると、金、超短期米国債、低ボラティリティー株に連動する上場投資信託(ETF)で資金流入が急増。その規模は2023年3月以来の大きさだ。背景には、世界的な貿易戦争が経済成長と企業利益の伸びに悪影響を及ぼし続けるとの懸念がある。

4月に入りこれら3分野に流入した資金は計180億ドル(約2兆5200億円)に上り、その約3分の2が現金同等の資産に投資するファンドに向かった。

「SPDRブルームバーグ1-3カ月短期国債ETF」(ティッカー:BIL)には80億ドルが流入。「iシェアーズ米国短期国債ETF」(SHV)と「iシェアーズ米国国債1-3年ETF」(SHY)がそれぞれ30億ドル、10億ドルだった。

金関連ファンドの資金流出入は、3カ月連続でプラス。低ボラティリティー株は約2年ぶりに流入超過となった。

 

21日の市場ではリスク回避ムードが強まった。将来的な米連邦準備制度の独立性に対し懸念が高まり、米国株とドル、米長期国債が売られた。S&P500種株価指数終値は2.36%安。

トランプ米大統領は、直ちに利下げしなければ米景気は鈍化するだろうと指摘し、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を重ねて批判した。スイス・フランや円など安全資産が買われた。

ストラテガス・セキュリティーズのシニア投資ストラテジスト、ライアン・グラビンスキー氏は「市場は米政府から明確な政策方針が示されることを求めているが、なお判然としない」とした上で、「先行きが見通せず、消費者や企業、さらに連邦準備制度でさえ大きな決断を下すことに慎重だ」と分析した。

原題:Gold and Cash-Like ETFs Are Sucking Up Money in Ominous Signal(抜粋)

--取材協力:Vildana Hajric、Eric Balchunas.

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