英運用会社オービス・インベストメント・マネジメントは日本の不動産株に投資魅力を見いだしている。日本経済のインフレ転換は増収につながる好機だとし、中でも三菱地所株の割安感が大きいとして保有を増やしている。

オービス日本法人の時国司社長はブルームバーグとのインタビューで、三菱地所が強みとする東京・丸の内エリアは多くの大企業が本社を構え、オフィスに安定した需要が集まる「特別な場所だ」と指摘。主力のオフィス事業はインフレで「賃料を上げられる余地がより大きくなる」と述べた。

丸の内のビル群

三菱地所が保有する不動産をそれぞれ再評価した合計額と比べ、株価は「非常に安い」と時国氏は話す。20年以上前から評価が更新されていない事例もあるとして「帳簿上の価値と実際の市場価格が著しく乖離(かいり)していることが一つ大きなポイントだ」と述べた。

オービスの公表資料によると、主力の日本株戦略「オービス・ジャパン・エクイティ運用戦略(円クラス)」の純資産総額に占める三菱地所の比率は3月末時点で8.5%と最大。比率は昨年8月の4.1%から徐々に上がってきた。ブルームバーグのデータによると、ファンドの年初来パフォーマンスは同業ファンドの93%を上回っている。

日本の不動産を巡っては最近、米アクティビスト(物言う株主)のエリオット・インベストメント・マネジメントが住友不動産株に投資したことも明らかになった。日本経済が長く続いたデフレから脱却する中、不動産は大きな投資テーマになっている。

オービスは米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏に先駆けて商社株に集中投資し利益を上げたことで知られる。時国氏は2023年12月のインタビューでは、業界再編など複数の成長要因があるとしてドラッグストア株にも強気の見方を示していた。

オービスの読みが全て的中しているわけではなく、ファンドの組み入れ上位にあるツルハホールディングスは24年以降、12%安と東証株価指数(TOPIX)の6.9%高をアンダーパフォームしている。三菱地所は日本銀行の利上げに伴う金利上昇がコスト増につながることへの懸念などから、過去1年の下落率が10%超とTOPIXの5%安より大きい。

ただ、時国氏はオービスが長期投資に耐え得る組織になっていると説明。ドラッグストア株には引き続き投資魅力があるとの見方を示す。三菱地所についても株価の割安さが解消されるまで「待つべきであればいくらでも待てる」と述べ、株価がさらに下がる場合には「追加投資する可能性がある」と話した。

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