みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ信託銀行は、株主や投資家との対話について企業に助言する業務を強化する。上場企業に対する買収提案やカバナンス(企業統治)改善を求める動きの強まりを受け、専門知識を持つ人材を増やす。

笹田賢一社長はブルームバーグとのインタビューで、今年度中に8人増員する方針を示した。現行体制の3割増となる。日本市場は同意なき買収提案が急増するなど「大買収時代に突入した」とし、「資本市場の変化の中でコンサルティングを起点に顧客企業の価値を上げることは、日本にとっても意義深い」と述べた。

みずほ信託銀行の笹田社長(16日・都内)

国内では物言う株主(アクティビスト)の動きが活発化しているほか、企業の間でも数年前まで珍しかった同意なき買収提案などが増えている。政策保有株の売却も加速しており、上場企業はかつてないほど株主や投資家との対話を迫られている。

増員は内部異動や外部採用により行う。みずほ信託社内に加え、事業会社で投資家向け広報(IR)戦略やコンサルティング業務の経験を持つ人材のほか、企業法務や東京証券取引所の規則に強い弁護士資格保有者、買収防衛策や企業の脆弱(ぜいじゃく)性を分析できる人材などを想定している。

みずほ信託では助言などを通じ、顧客企業の新たな合併・買収(M&A)や非公開化につながった事例が増えた。笹田氏はニーズが急速に高まったとし、「手応えはあるし、もっとできる。課題の一つは人材で、質と量の両方を拡充したい」と話した。

例えば、みずほ信託によるコンサルティングがMBO(経営陣による買収)につながり、みずほ証券がフィナンシャルアドバイザー(FA)を務め、みずほ銀行が融資するといった連携は、みずほFG全体に収益をもたらす。これらを合わせた関連収益は前期(2025年3月期)で計画比2.5倍となったもようだ。

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