(ブルームバーグ):米国はロシアとウクライナの和平合意を可能にするための提案を同盟各国に提示。戦闘終結の条件や、恒久的な停戦が成立した場合に対ロシア制裁を緩和する内容などが盛り込まれている。
ルビオ米国務長官は18日、パリ郊外のル・ブルジェ空港で記者団に対し、ウクライナ戦争を終結させられる兆候が近いうちに見られなければ、米国は和平仲介から「次の段階へ進む」と発言。一方でバンス副大統領は同日にローマで、戦争終結の可能性について「楽観的だ」と語っていた。
事情に詳しい複数の欧州当局者は、米国の提案の概要は17日にパリで行われた会合で共有されたと述べた。
同当局者によれば、この提案では、現在ロシアが占領しているウクライナ領土はロシアの支配下にとどまる形となる。ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟する道も議論の対象から外される見通しだという。非公開協議であることを理由に、当局者はそれ以上の詳細については言及を控えた。
パリでは米国のウィトコフ中東担当特使とマクロン仏大統領の会談が行われたほか、ルビオ氏とフランス、ドイツ、英国、ウクライナの国家安全保障顧問や交渉当局者との会合も持たれた。
複数当局者によると、米国は「数週間以内のウクライナにおける完全停戦の実現」を目指す意向を示した。各国は来週にロンドンで協議を継続する予定だという。
当局者の1人は、この提案はウクライナ側とのさらなる協議が必要であり、最終的な和平合意を意味するものではないと指摘。また欧州はロシアが支配するウクライナの領土をロシア領として認めることはないと述べた。また複数の当局者は、ロシアが戦闘の停止に同意しなければ協議は無意味になると強調。いかなる合意にもウクライナに対する安全保障の提供が不可欠だとしている。
無理なら次へ進む
ルビオ氏は18日、ウクライナが安全保障を求めるのは「不当な願い」ではないとしながらも、交渉はまだそのレベルの具体性には達していないと発言。「すべての主権国家には自衛の権利がある。ウクライナにも自らを守る権利があり、さまざまな国と二国間で自由に協定を結ぶことができる」と述べた。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官にコメントを求めたが、返答は得られていない。
欧州当局者は、パリでの会合を「建設的かつ前向きだった」と評価。ルビオ氏も記者団に対し、解決に向けた動きを英仏独が後押しすることを期待すると語った。
その上でルビオ氏は「短期で解決可能かどうか、数日のうちに見極める必要がある。もし無理なら、われわれはもう『次へ進む』と思う」と付け加えた。
トランプ大統領も18日、早期に合意が成立しない場合には戦争終結への取り組みから離脱する可能性を示唆。これに先立ち、ロシア当局はウクライナのエネルギーインフラを標的とした1カ月間の攻撃停止措置が終了したと発表した。
ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ氏は記者団に対し、「もし片方、あるいは両方の当事者が極めて困難な状況を作り出すなら、われわれはこう言うだろう。『君たちは愚かでひどい人間だ。われわれはもう関与しない』と。そうならないことを願うが」と語った。
トランプ氏はウクライナ和平交渉について「具体的な期限は設けていない」としながらも、「早い段階での進展が必要だ」と強調した。
同氏は前日にイタリアのメローニ首相とホワイトハウスで会談した際、米国とウクライナが24日に鉱物資源協定に署名すると述べていた。
原題:Trump Says US to ‘Take a Pass’ If Russia or Ukraine Balk on Deal、USOffers to Ease Sanctions on Russia in Ukraine Peace Proposal(抜粋)
(最終4段落以降を追加して更新します)
--取材協力:Ania Nussbaum、Jenny Leonard.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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