トランプ米政権は14日、半導体および医薬品の輸入品への関税賦課計画を前進させるため、商務省主導の調査を開始したと発表した。貿易戦争のさらなる拡大につながる恐れがある。

商務省は連邦官報に2件の通知を掲載し、「半導体および半導体製造装置の輸入」と「完成医薬品を含む医薬品および医薬品原料」が米国の国家安全保障に与える影響を調査すると公表した。両方の調査について政府は今後21日間にわたり意見公募を行う。

今月1日に開始された調査は、通商拡大法232条に基づくもので数カ月間続く可能性がある。同法に基づき、商務長官は270日以内に調査結果を提出することが義務付けられているが、より迅速に完了する可能性をトランプ大統領や政府高官は示唆している。

トランプ大統領は長らく、医薬品や半導体の海外生産を国家安全保障上の脅威と非難し、それらの製品の米国製造を復活させるため輸入品に関税を賦課する可能性を示唆してきた。だが、関税はサプライチェーンの混乱や米国民のコスト増加を招く恐れがある。

新たな関税措置が実施されれば、自動車や航空機、携帯電話などあらゆる製品に欠かせない半導体産業を混乱させかねない。 新型コロナウイルス禍による混乱の影響を依然として受けている半導体のサプライチェーンは、米国の関税による新たな重圧に直面する可能性がある。

トランプ政権は今回の発表に先立ち、中国からの半導体と携帯電話、コンピューター、その他の電子機器の輸入品に対する145%の関税を一時適用除外とした。アップルやエヌビディアなどの大手テクノロジー企業にとって朗報と受け止められたが、トランプ大統領と側近はすぐに、除外措置は一時的なもので半導体には別途課税されると表明していた。

商務省による半導体に関する調査は幅広い範囲が対象となり、旧型チップと、人工知能(AI)用途で需要が高まる最先端チップの輸入を評価する。官報によると、調査は全ての半導体および製造装置、半導体部品を含む電子製品の輸入を対象とする。

半導体セクターへの関税を発動すれば、毎年数十億ドル規模のマイクロプロセッサーや関連製品を米国に輸出する幅広い企業に影響が及ぶ恐れがある。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のSKハイニックスなどの外国の先端半導体メーカーは値上げや利幅圧縮を余儀なくされる。

蘭ASMLホールディングなどの企業から輸入する半導体製造装置に関税が賦課される場合、トランプ大統領が掲げる国内半導体生産拡大というビジョンのコストも高まる恐れがある。

医薬品

医薬品に関する調査は、完成ジェネリック(後発医薬品)および非ジェネリック医薬品、および原材料の輸入が対象となる。

関税が発動されれば、世界中に多数の製造拠点を展開するメルクやイーライリリーなど世界の大手製薬会社にとって打撃となる。

スイスのノバルティスやイーライリリーなど大手製薬会社は関税の可能性を想定し、米国への大規模投資を相次ぎ発表したが、関税の影響を和らげることはできないと専門家らは警告している。

リーリンク・パートナーズのアナリスト、デービッド・ライジンガー氏は今回の発表に先立ち顧客向けリポートで、「影響を受ける企業に即効性のある解決策はないというのがわれわれの見方だ。製造拠点の移転には何年もかかり、非常にコストがかかる」と指摘した。

製薬会社は、関税のコストを負担するか、既に世界で最も高価な市場である米国で自社医薬品を値上げするか選択を迫られる。ただ、医薬品の価格にはある程度の規制があるため関税が賦課されれば最終的には製薬会社の収益を圧迫し、研究規模縮小につながる可能性があるとイーライリリーのデーブ・リックス最高経営責任者(CEO)は最近、BBC放送に語った。

製薬業界は、人道上の理由から医薬品を関税からおおむね保護する国際協定によって守られ、貿易戦争を回避してきた。だが、トランプ氏は米製薬会社の海外生産依存に繰り返し不満を述べており、数十年にわたる伝統を打破しようとしている。

原題:Trump Initiates Chips and Drug Probes, Ahead of More Tariffs (1)(抜粋)

(発表の詳細や背景を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.