政府は11日、米国による一連の関税措置への対応で、総合対策タスクフォース(作業部会)を設置した。対米交渉や国内対策に政府を挙げて取り組む方針だ。

石破茂首相が、首相官邸で行った赤沢亮正経済再生担当相らとの面会、その後の対策本部会合で語った。石破首相は作業部会を設置した狙いについて「省庁の枠を越えて米国との交渉や国内産業に対する必要な対策に取り組む、オールジャパンの組織体制を構築する」と語った。米関税措置は「あらゆる産業に大きな影響を与えかねない」との懸念も重ねて示した。

トランプ米政権は日本などへの上乗せ関税を90日間停止する方針を示したものの、5日発動の10%の基本税率や鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税の25%は維持している。日本政府としては作業部会の設置で関係府省が連携を強化し、協議を通じて米側に措置の見直しを引き続き求めていく構えだ。

作業部会は林芳正官房長官と対米協議を担当する赤沢氏が共同議長を務め、全閣僚が参加する対策本部の下、米国との協議や支援の調整などを行う。同時に佐藤文俊官房副長官を事務局長に内閣官房や関係府省の幹部職員が構成員となる総合対策本部事務所も設立した。

「タフな交渉相手」

石破首相は、赤沢氏には日米双方の利益になる幅広い協力のあり方を模索すべく、関係閣僚と密接に連携し、米国側と協議を進めるよう指示した。国内企業の資金繰りなど必要な支援に関する総合調整も着実に実施するよう求めた。

赤沢氏は「全力で最優先で取り組んで、何とかいい結果を出していきたい」との決意を示した。その後の記者会見で、赤沢氏は米側の交渉相手となるベッセント財務長官について金融知識、経験は自分をはるかに上回り、「タフな交渉相手」になり得ると指摘。協議の際に為替について話題が先方から出れば議論に応じるとも述べた。

武藤容治経済産業相は11日、閣議後の記者会見で、赤沢氏が交渉担当として今後渡米し、詳細を詰めていくことになるとし、経産省としても支援していく考えを示した。政府関係者の情報としてNHKが11日報じたところによれば、赤沢氏は日本時間17日にベッセント米財務長官らと協議する。

11日の日本市場は株式が大幅反落し、日経平均株価など主要株価指数の下落率が一時5%を超えた。米政権の関税政策を発端とした貿易戦争の激化懸念が高まり、米国株が大幅に下落した流れを引き継いでいる。リスク回避姿勢の強まりから円の対ドル相場は一時、1ドル=142円台後半まで円高・ドル安が進んだ。債券は上昇している。

(第7段落に情報を追加します)

--取材協力:稲島剛史、日高正裕.

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