(ブルームバーグ):「コロナ」ビールなどのアルコール飲料を製造・販売する米コンステレーション・ブランズが低調な業績見通しを示した。米国の新たな関税が重しとなると見込む。また、健康志向の広がりで若年層が低アルコールやノンアルコールの飲料を選ぶ傾向を強めていることが、ビールやワイン、蒸留酒の需要低迷につながっている。
9日の発表によると、同社は2026年2月期の1株利益を12.33-12.63ドルと予想。先週発動された米国の関税の影響を反映させている。調整後1株利益のアナリストは13.39-15.29ドルだった。
すでに販売不振に苦しむコンステレーションは、輸入缶ビールなどの商品に25%の関税が課せられることになり、今後は瓶などの他の形態にも拡大される可能性がある。コンステレーションは人気のメキシコ産ビールを輸入しており、これらブランドの製造では限られた数の施設に依存していると過去に開示していた。
トランプ大統領は9日午後、米国の関税に対し報復措置を取っていない国・地域に対する上乗せ関税を90日間停止すると発表。これを受け、同社株価は上昇した。
コンステレーションの24年12月-25年2月(第4四半期)の1株利益は2.63ドル。アナリスト予想の2.29ドルを上回った。売上高は22億ドル(約3230億円)で、アナリスト予想平均21億ドルをわずかに上回った。
「モデロ・エスペシアル」「コロナ・エキストラ」「パシフィコ」などのブランドを含むビール部門の売上高は横ばいとなった。出荷量の減少が価格上昇によりほぼ相殺されたためだ。
「キム・クロフォード」「カサ・ノブレ・テキーラ」などのワイン・スピリッツ部門の売上高は11%増加。高級ボトルの販売増や米国・カナダでの需要増が寄与した。
同社は9日、「ウッドブリッジ」「ロバート・モンダビ」など低価格帯のワインブランドをザ・ワイン・グループに売却すると発表した。条件は開示していない。
この動きは、高価格帯で利益率の高いワインに注力する戦略の一環。組織構造の見直しにより、28年度までに年間2億ドル余りの経費節減を見込んでいる。
アルコール飲料各社は、若年層の飲酒減少で厳しい局面にある。今年初めには、マーシー医務総監(当時)がアルコール飲料のラベルにがんとの関連性を明記するよう勧告した。また、経済的な懸念から消費者はさまざまな裁量的支出を減らしている。
原題:Corona Brewer Issues Downbeat Outlook Factoring in New Tariffs(抜粋)
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