(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は9日、トランプ米大統領が相互関税の一時停止を決めたことについて、「経済的合理性と現実主義に回帰し始めた」と述べた。
テレビ局フランス2とのインタビューでビルロワドガロー総裁は、「この3カ月間の米政策には大きな不確実性があった。この不確実性はまず米国の景況感と成長に響くが、今夜、この不確実性が良い方向に向かいつつあることが分かり、悪いニュースが減っている」と語った。
米東部時間9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に世界56カ国と欧州連合(EU)に対する相互関税の上乗せ分が発動されたことを受け、市場が混乱し、リセッション(景気後退)懸念が拡大。ただ、ホワイトハウスは発動から約13時間後に数十カ国・地域に対する一部関税を90日間停止すると発表した。この方針転換をきっかけに株価は反発。トランプ氏は企業経営者や投資家から方針撤回を求める大きな圧力を受けていた。
ホワイトハウスの一時停止発表直後に発言したビルロワドガロー総裁は 「保護貿易主義は望ましくない政策で、最初に痛手を受けるのはインフレが加速する米経済だ。米消費者は車や『iPhone』、衣類などあらゆる輸入品の価格上昇に直面し、成長率は大きく押し下げられる」とした上で、「欧州にも他の影響が出るだろうが、最初にマイナスの影響を受けるのは米国だ」と述べた。
原題:ECB’s Villeroy Salutes Trump’s Step Toward ‘Economic Reason’(抜粋)
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