米連邦準備制度理事会(FRB)が9日公表した3月18-19日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者がスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)のリスクを指摘していたことが分かった。

当局者ほぼ全員が「インフレへのリスクは上向きである一方、雇用へのリスクは下向き」との認識を示した。

議事要旨からは、トランプ米大統領の通商政策が物価安定と最大雇用というFRBの2大責務にもたらすリスクに当局者が対処する様子がうかがわれる。インフレ率は2021年3月以降、目標の2%を上回って推移している。

一部の当局者は「インフレがより根強いことが判明する一方で、成長および雇用見通しが弱含めば、困難なトレードオフに直面する」との認識を示した。

同会合では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25-4.5%に据え置くことを決定。経済見通しを巡る不透明感が増しているとの認識が示されていた。

トランプ氏は同会合後の4月2日、各国・地域に対する相互関税を発表。その後の4日、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は講演で、新たな関税による経済的影響は想定よりもかなり大きくなる可能性が高いとし、米金融当局としてはそれがインフレの問題悪化につながらないようにする必要があると強調した。

バランスシート

議事要旨では、バランスシートの縮小ペース減速が決まった背景についても、さらなる手掛かりが示された。

同会合では、4月から米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限を月間250億ドルから50億ドルに減額する一方、住宅ローン担保証券(MBS)については、現行の月間上限350億ドルを維持した。

議事要旨によれば、複数の当局者は縮小ペースを緩める「説得力のある根拠は見当たらない」との見解を示していた。

「準備金を巡り市場に混乱が生じた場合には、委員会がすでに有している政策手段を活用することで対応可能だと幾人かの参加者は述べた」としている。

ウォラー理事は、銀行システムにはバランスシートの圧縮ペースを維持するだけの十分な準備金があるとして、反対票を投じていた。

原題:Fed Officials Worried Over Stagflation Risk Ahead of Tariffs (1)(抜粋)

(第3段落以降を追加して更新します)

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