(ブルームバーグ):貿易動向に敏感なアジア通貨は9日の取引で下落。世界経済をリセッション(景気後退)に陥れるリスクのあるトランプ米大統領の関税政策を受け、ここ数年来の安値となっている。
ブルームバーグ・アジア・ドル指数は2006年以降のデータで過去最低水準を記録。韓国のウォンは世界金融危機以来の安値となった。
オーストラリア・ドルとニュージーランド・ドルは20年3月以来の安値を付けた後、持ち直した。インドネシア・ルピアは過去最安値を記録し、中国人民元はオフショア取引で過去最安値から反発した。
アジア通貨の急激なボラティリティーは、いわゆる「トランプ関税」を巡るニュースにトレーダーらが不安を抱き、米国と中国の貿易戦争が世界経済に悪影響を及ぼしかねないと懸念していることが背景だ。
トランプ大統領は、各国が関税に対して報復措置を取る場合、さらなる措置を講じると表明。東南アジアの資産は売り圧力の矢面に立たされており、インドネシア・ルピアとタイ・バーツが年初来で大きく下げている。
ATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トウィデール氏(シドニー在勤)は「貿易に関しさらに悪いニュースがあれば、その打撃が地域全体に広がり、アジアの通貨が苦境に陥る」と指摘。
「多くの通貨が数年来の安値で弱い水準にあることを考えると、新たな下落レンジに落ち込むことで、その影響がさらに増幅される可能性がある」との見方を示した。
原題:Asia’s Trade-Sensitive Currencies Whipsaw Amid Tariff Turmoil(抜粋)
--取材協力:Catherine Bosley、Karl Lester M Yap、Roger Yu.
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