(ブルームバーグ):トランプ米大統領による2日の相互関税発表以来、米アップルの株価が急落している。同社のサプライチェーンに必要不可欠な中国やベトナム、インドが相互関税の対象となり、その影響を乗り切れるのか懐疑的な投資家の見方を映す動きだ。
アップル株は関税発表以降に23%下落し、4営業日ベースで2000年以来の大幅な下げを記録。時価総額は7700億ドル(約112兆円)余り減少。S&P500種株価指数構成企業で時価総額トップの座をマイクロソフトに譲った。
アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリビーン氏は、「関税を巡る状況は、アップルの経営を実に複雑にする」と指摘。値上げすれば需要が落ち込み、コストを吸収すれば利益と利益率が圧迫されるという。「ここから先行きを見極めるのは極めて難しい。だから市場はこうした反応を示している」と述べた。
リスクは一段と深刻化している。トランプ氏は7日、中国が米国製品に対する34%の報復関税を撤回しない場合、「50%の追加関税を課す」と警告。50%の追加関税は、中国からの全輸入品に対して9日から課す34%の相互関税、および合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関連して先に課した20%の関税に上乗せされることになる。

アップル株はこれまで長期にわたり、潤沢なフリーキャッシュフロー、健全なバランスシート、積極的な自社株買いのため、相対的な資金避難先とみられてきた。しかし現在では、関税を巡る不確実性が圧倒的に高くなっている。アップル株の将来のボラティリティーに関する市場予想を示す指数、CBOEアップルVIXは20年9月以来の高水準に上昇した。
ただ、多くのアナリストは同社の先行きに依然楽観的だ。特に歴史的な株価急落について、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は「絶好の買いチャンス」だと指摘。アナリストの平均目標株価に基づくと、株価は向こう12カ月で40%余り上昇すると見込まれている。14日相対力指数(RSI)は今週23を割り込み、一般的に売られ過ぎを示唆する30を下回った。
原題:Apple’s Historic Selloff Has Bulls Balking From Tariff Risks(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik、Cristin Flanagan.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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