(ブルームバーグ):ハッカーは1年余りにわたって米通貨監督庁(OCC)の電子メールシステムに不正侵入し、職員約103人のメールを閲覧して極めて機密性の高い金融情報を入手していた。事情に詳しい関係者2人の話とブルームバーグ・ニュースが確認した議会宛て書簡の草案で明らかになった。
非公開情報だとして関係者が匿名で語ったところでは、ハッカーは管理者アカウントに侵入したことで、OCC職員の電子メールを閲覧できる状態だった。
書簡の草案によれば、OCCは2月12日、同庁のシステムに不正アクセスがあったことを認めた。その前日には、マイクロソフトのセキュリティーチームからネットワーク上の異常な動きについて通知を受けていた。
OCCは今月8日、「重大な情報セキュリティー問題」だとして、今回のハッキングについて議会に報告した。
OCCの最高情報責任者(CIO)を務めるクリステン・ボールドウィン氏は書簡草案で、「分析の結果、(ハッキングされた)電子メールと添付ファイルには極めて機密性の高い銀行情報が含まれており、国民の信頼を著しく損なう公算が大きいことが判明した」と説明した。
今回のハッキングの犯人は分かっていない。OCCは2月26日、庁内電子メールシステムの管理者アカウントを巡る「サイバーセキュリティー問題」が同月見つかったと発表。その時点では金融セクターへの影響は示唆されていないとしていた。
ハッカーが侵入したのはOCCの上級副監査官や国際銀行監督官らのメールボックスだと、関係者1人は語った。議会宛ての書簡草案によると、2023年5月から今年に入り発見・排除されるまで、計約15万通の電子メールにアクセスしていたという。
原題:Hackers Spied on US Bank Regulators’ Emails for Over a Year (1)(抜粋)
--取材協力:Daniel Flatley.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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