米企業による新規株式公開(IPO)計画の棚上げが相次いでいる。トランプ大統領の関税措置によりS&P500種株価指数が3営業日で11%下落するなど打撃を受けているためだ。米国のIPOが回復するまで少なくとも数週間はかかるとの見方も出ている。

米株式市場の「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)が2020年の新型コロナウイルス禍初期以来の高水準に達する中、企業は様子見姿勢を強めている。チケット売買サイト運営の米スタブハブ・ホールディングスやスウェーデンのフィンテック大手クラーナ・グループ、小口投資プラットフォームのeToro(イートロ)など注目企業がIPOに向けた準備を凍結した。

JPモルガン・チェースの米州株式資本市場責任者キース・カントン氏によると、企業や投資家の間では停滞感が漂っている。「われわれが取り組んでいるプロセスが短期的に中断されるのは確実だ。発行体へのメッセージは、準備を整え、備えを万全にすることだ。日ごと、週ごとに判断していくものの、まずは事態が落ち着くのを待つ必要がある」と述べた。

エコノミストらがリセッション(景気後退)懸念を強める中、IPO延期が長引けば一部の企業は再考を迫られることになりそうだ。

カントン氏はインタビューで、IPOの代替案を考え始めなければならないと指摘。「一時的な中断だけではこの問題は解決しない。今後1-2週間で解決する問題ではなく、時間を要する」とした上で、「市場の状況を考慮すると、少なくとも数週間はIPO市場で目立った動きは見られないだろう」とコメントした。

 

原題:US IPO Bankers Face ‘Paralysis’ After Trump Tariffs Halt Plans(抜粋)

--取材協力:David Marino.

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