米国の日本製品に対する24%の相互関税賦課や25%の自動車関税賦課などを巡るディールを行うための協議が始まった。ディール実現に向けて、日本は如何なるパッケージを米国に提示して交渉するのか。

パッケージの主要部分は対米投資のコミットメントになる可能性が高いとSMBC日興証券経済分析チームは考える。a)LNG 関連、b)自動車関連、c)AI 関連などを主力とする対米投資の実施である。更に、d)軍備品の購入なども検討される。加えて、トランプ大統領が相互貿易公表の記者会見で示した日本に対する不満や3月31日にUSTR が公表した2025年の貿易障壁報告書(NTE)などを踏まえるとe)日本が米国製品に課している輸入関税の引き下げやf)自動車分野などの非関税障壁の緩和などもパッケージの一部として想定される。

石破首相とトランプ大統領が電話協議

4月7日に石破首相とトランプ大統領が25分間の電話協議を行った。協議後の記者会見に基づくと、石破首相はトランプ大統領に、1)関税賦課に拠って日本企業の対米投資余力が減退することを強く懸念、2)一方的な関税賦課ではなく投資拡大を含め双方の利益になる幅広い協力のあり方を追求すべき、と伝達した。そして、日米両国が担当閣僚を設けて協議を行うことで合意している。トランプ大統領は、SNS に日本が交渉のトップチームを送ってくる旨を投稿し、石破首相の発言を裏付けた。

ディールに向けた協議の開始

米国の日本製品に対する24%の相互関税賦課や25%の自動車関税賦課などを巡るディールを行うための協議が始まった。トランプ大統領は、7日に、日本が米国を「貿易面でひどく扱ってきた」旨の不満を改めて示しており、日米交渉の先行きを決して楽観はできない。しかし、何はともあれ、交渉開始は、トランプ関税の軽減に向けたプロセスの重要な第1歩である。

日本以外も交渉開始

対日本にとどまらず、関税に関するディール成立に向け、米国は2国間交渉を開始している。トランプ大統領はベトナムのラム共産党書記長と電話協議を、イスラエルのネタニヤフ首相と対面の会談を実施した。一方、米国が課した相互関税と同率による報復関税を発表した中国に対しては、更なる50%の追加関税を示唆している。少なくとも、トランプ大統領と主要閣僚は、深刻な株安などを受けて、関税賦課を撤回するスタンスを示していない。