(ブルームバーグ):8日の日本市場は株式が急反発。日経平均株価の上げ幅は一時2100円を超えた。前日に史上3番目の下落幅を記録した反動の買いが優勢だった。債券市場では長期金利が大幅上昇(価格は下落)、円相場はおおむね1ドル=147円台で推移した。
石破茂首相とトランプ米大統領の電話会談を受けて関税見直しへの期待が高まり、電機や自動車など輸出関連株を中心に大幅反発。日米の金利上昇を好感して保険や銀行など金融株も買われ、東京証券取引所の33業種全てが高い。
東証株価指数(TOPIX)は一時7.2%上昇し、日経平均株価は同6.8%高。ともに昨年8月以来の上昇率となったが、トランプ大統領が相互関税を発表する前の今月2日終値は7%以上下回っている。
みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「昨日の日本株は夜間取引での米株先物大幅安まで織り込んで大きく下げた」経緯があるとして、米国株の下げが限定的だったことがきょうの日本株高の原動力になるとみていた。きょうは一転してアジア時間8日の米株先物が主要3指数そろって上昇しており、今晩の米国株高への期待も指数を下支えした。
株式
東京株式相場は日経平均が4営業日ぶり、TOPIXが5営業日ぶりに反発。昨日の米国株の下げが限定的だったことや為替の円高一服、日米関税協議への期待から見直し買いが優勢だった。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は。前日に売られ過ぎの水準まで下げたため、「投資家が買い戻すきっかけを探していた」と指摘。「米相互関税の引き下げに向けて交渉が始まったというところが前向きに評価され、マーケットの反発の要因になっているだろう」と述べた。
債券
債券相場は大幅下落。トランプ大統領の関税政策を巡る過度なリスク回避の後退で米国の長期金利が大幅上昇したため、国内でも売りが優勢だった。30年国債入札が弱い結果となったことも相場の重しとなった。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、30年債入札は利回り曲線上の割安さだけでは買える人が少なく、弱い結果だったと指摘。「ボラティリティー(変動率)が高く、生命保険が積極的に動くタイミングでもなかったほか、日本銀行の利上げがどうなるか分からないので、スティープ(傾斜)化するリスクもある」との見方を示した。
30年入札結果によると、最低落札価格は99円00銭と市場予想100円00銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は75銭と、2023年12月以来の水準に拡大した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.96倍と前回の3.5倍を下回り、24年3月以来の低水準となった。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は1ドル=147円台中心に推移。日本株が大幅反発し、過度なリスク回避が和らいだことに伴う円売りと、日米関税協議の先行きの不透明さを意識した円買いでもみ合った。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、株価は前日の大幅安の反動もあって戻しているが、関税政策を巡って偽情報が飛び交うなど「何を信じていいのか分からない状態だ」と語る。リスク志向で円売りを進める状況でもなく、9日に関税措置が発動されれば再びリスク回避から円買いが強まる可能性もあると言う。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、株価上昇に連動してクロス円は上昇しているが、ドル・円相場は株価よりも米長期金利と連動していると指摘。時間外取引で米長期金利上昇が一服していることが、ドルの上値を抑えたと述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ、日高正裕、長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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