(ブルームバーグ):アサヒグループホールディングスが計画していた社債発行を延期することが8日、分かった。主幹事証券によると、市場環境の悪化が理由。日本企業の起債計画見直しが相次ぐ一方で、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは円債の需要調査を継続している。
アサヒGHは総額500億円程度の調達を目指して上旬に予定していた起債を延期した。このほか、100億円の劣後債を準備していたサントリーホールディングスは、日清食品ホールディングスとNIPPON EXPRESSホールディングスとともに発行を見送る。
米国の関税政策や日本銀行の追加利上げを巡る先行き不透明感から国債利回りが大きく変動し、社債市場にも影響が出始めている。先んじて地方債市場では4日、新たに発行される10年債の国債上乗せ金利(スプレッド)が前月比で6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大、拡大幅は2年半ぶりの大きさとなっていた。

りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、国債の金利が低下した結果、「絶対利回りが必要な投資家にとってスプレッドが足りず、需要が弱かったのではないか」と分析。一方、バークシャーについては「グローバル投資家が入りやすい銘柄で買いやすい」とした上で、スプレッドを拡大させたため「消化できるのではないか」とみる。
11日にも起債する予定のバークシャーは現在、7本立てで需要調査を行っている。主幹事のみずほ証券によると、10年債のTONA(無担保コール翌日物金利)ミッドスワップに対する上乗せ金利の参考水準は95-105bp。関係者によると、3日時点では80-85bp程度だった。
10年物国債の利回りは8日、10bp超上昇している。トランプ米大統領が関税政策を発表して以降、金利は大幅に低下していた。変動が激しい金利環境に対する投資家の警戒感が強まっている。

(第4段落以降に投資家コメント、バークシャーの動向などを追記しました)
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