(ブルームバーグ):米国に大量の金や銀を運び込む動きにつながっていた取引が急停止した。トランプ米大統領が2日発表した一連の関税から貴金属が除外されたためだ。
ここ数カ月にわたり、世界的なベンチマークに対するニューヨーク金相場のプレミアムは記録的な高水準にある。貴金属が関税対象となるリスクをトレーダーが考慮し、裁定取引が活発に行われたためだ。このプレミアムが銀行やトレーダーに航空機や船舶に大量の金塊を積み込むインセンティブをもたらし、その過程で米国の貿易データにゆがみが生じた。
3日の米市場では、そうした貴金属のプレミアムが急激に低下。金や銀、プラチナ、パラジウムが関税の適用対象外とされたためだ。ニューヨーク商品取引所(COMEX)金期近物とロンドンの金スポット価格の差は1オンス当たり21ドルと、前日の62ドル強から縮小した。
コモディティーの裁定取引に特化したヘッジファンド、グリーンランド・インベストメント・マネジメントのアナント・ジャティア最高投資責任者(CIO)は「昨日の発表で先物・現物交換(EFP)のプレミアムは崩壊し、数カ月前から見られた大量の貴金属を米国に搬入する動きは終了した」と述べた。

金輸入の急増は、1月の記録的な米貿易赤字の原因にもなった。
原題:The Race to Get Gold Bars Into the US Screeches to a Halt (1)(抜粋)
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