2日の米株式市場の時間外取引では、ナイキなどフットウエア・衣料品メーカー大手の株価が下落。トランプ米大統領がベトナムなど重要な生産拠点がある国に対して新たに関税を課すと明らかにした。これらの企業のサプライチェーン(供給網)が打撃を受ける可能性がある。

トランプ氏は同日、世界の貿易相手国に対し相互関税を課すと発表。関税率は対ベトナムが46%、カンボジアは49%、中国は34%、インドネシアは32%となっている。

ナイキと独アディダスはここ10年間にベトナムで生産を拡大。規制当局への届け出によると、今やナイキの靴の約半分、アディダスの靴の39%がベトナムで製造されている。ベトナムは両社にとって最大のフットウエア供給国であり、同国製の靴の年間売上高は両社合計で200億ドル(約2兆9500億円)を超える。

ナイキ株はニューヨーク時間2日午後5時6分(日本時間3日午前6時6分)時点で6.4%下落。ヨガウエアメーカー、ルルレモン・アスレティカは約9.6%安。同社製品にベトナム製が占める割合は40%、カンボジア製は17%。

 

カジュアル衣料を手掛ける米アバクロンビー・アンド・フィッチ(アバクロ)は7.7%安。同社の商品の35%がベトナム製、22%がカンボジア製だ。米アパレルチェーンのギャップは11%安。同社の商品にベトナム製が占める割合は約27%、インドネシア製は19%となっている。

 

全米小売業協会(NRF)の政府対応担当シニアバイスプレジデント、デービッド・フレンチ氏は2日、「関税引き上げは、米国の企業や消費者にとって懸念や不確実性が拡大することを意味する」とし、「関税は米輸入業者が負担する税金であり、いずれ最終消費者に転嫁されるだろう」と述べた。

ナイキとアディダスはコメント要請にすぐに応じていない。

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングやヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)などファッション小売り大手も、ベトナムを最大の供給国の一つと位置づけている。

原題:Nike Falls as Trump’s Reciprocal Tariff Plan Sinks Retailers (2)(抜粋)

--取材協力:Jonathan Roeder.

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