米ゴールドマン・サックス証券の元アナリスト、田中克典氏が率いる投資会社ありあけキャピタルが、保有する地銀株の売却で約83億円の利益を上げる見込みだ。

千葉県最大手の地方銀行である千葉銀行が、ありあけから千葉興業銀行株式の20%弱を約200億円で取得する方向で最終調整していることが、事情に詳しい関係者への取材で分かった。公表資料によると、ありあけは千葉興業銀株式を117億円で取得していた。

千葉銀による千葉興銀株の取得については日本経済新聞が26日夜に報じていた。千葉銀と千葉興銀は27日朝、株式取得や経営統合へ向けた協議開始を含め、「経営戦略上の選択肢についてさまざまな可能性を模索している」とのコメントをそれぞれ発表した。

ありあけは地銀に投資するファンドで、直近の運用資産は480億円規模。2021年後半の運用開始から24年末の約3年間で300%超のリターンを上げた。売却が実現すれば、ファンドのリターンはさらに拡大することになる。

ありあけを立ち上げる前、田中氏はゴールドマン・サックスに19年間勤務し、その大半で日本の銀行セクターアナリストを務めた。最近のインタビューで田中氏は、同氏のファンドは、ようやく訪れた「金利のある世界」で、業績と株価の向上を目指す地方銀行に賭けていると語った。

ありあけの投資先は、非公表のものも含め現在約10社。公開資料によると、保有比率は千葉興業銀行株が約20%、山梨中央銀行が約1.53%などとなっている。山梨中央銀行も27日、他の地銀と業務提携を計画しているという日経新聞の報道などを受け、前日終値比6.9%高の2374円で引けた。

ありあけの広報担当者は、千葉銀との取引についてコメントを控えた。

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