石破茂首相は27日、米国のトランプ大統領が輸入自動車に対する25%の関税賦課を命じる大統領令に署名したことを受け、「あらゆる選択肢」が検討の対象になるとの考えを示した。米国の方針を受けてトヨタ自動車など日本の自動車メーカー各社の株価は同日の取引で下落した。

石破首相は参院予算委員会での答弁で「あらゆる選択肢というものは当然、検討の対象となる」と述べた上で、「何が日本国の国益に一番資するものかということを考えていかなければならない」とした。立憲民主党の辻元清美氏の質問に答えた。

関税を巡る動きを受けて株価の下落率が大きいのはSUBARU(スバル)で、一時前日比6.7%安の2754.5円と2024年11月1日以来の日中下落率を付けた。トヨタ株は同4%安、ホンダは同3.4%安、日産自動車は同3.9%安となった。

関税は4月2日に発動し、その翌日から徴収を開始する。また、ホワイトハウスによると、完成車だけでなく、エンジンやトランスミッション、パワートレイン部品、電子部品などの主要な自動車部品にも関税が適用される。

2024年の日本から米国への自動車の輸出金額は6兆円を超え、自動車部品は約1兆2300億円に上る。合計で対米輸出の約3分の1を占めており、関税が計画通り実施されれば日系自動車メーカーの業績や日本経済全体に影響する恐れがある。武藤容治経産相は27日、米国の自動車関税賦課は「きわめて遺憾」とした上で、引き続き除外を求めていくと記者団に説明した。対抗措置の検討を問われ、さまざまな点を精査することを含めて対応していかなければならないと述べた。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、自動車各社が取れる対策について、短期的な対応としては関税分は車両価格に転嫁されるとした上で「100%転嫁できるかというと難しい面がある」とした。

中期的な取り組みとして日本やカナダ、メキシコなどから米国へ輸入している車種を米国でも作っている場合は、それらを米国生産に切り替える対応があると吉田氏は指摘。ただ、米国工場の生産能力の制約や「日本・カナダ・メキシコの工場の空洞化という課題はあるので、移管するといっても限度がある」と述べた。

営業利益3割減も

トランプ氏の関税計画を受けて、自動車業界では米国での投資を拡大する動きも出ている。

過去に米国生産から撤退したものの販売は継続している三菱自動車の広報担当者は27日、米国で新たな生産投資機会を検討中で地元企業との提携も増やす考えを明らかにした。米国事業に関する長期計画に沿い、新モデルの投入や商品ラインアップの充実、販売ネットワークの強化を図るという。

韓国の現代自動車も今週、2028年までに米国に約210億ドル(約3兆1500億円)を投資し自動車生産の拡大や他のプロジェクトにより約1万4000人の直接雇用を創出する計画を発表していた。

トヨタの広報担当者は、同社は米国で顧客のニーズに応えられるよう取り組んできたとし、「関税の影響については、引き続き状況を注視していく」と述べた。スバルの広報担当者は自社のビジネスへの影響を最小化するべく、様々な検討を行っているとした上で、関税による影響などを精査しており詳細や具体的な対応策についてはコメントを控えるとした。日産、マツダからは現時点でコメントが得られていない。

ホンダの広報担当者はコメントは控えるとした上で、自社が加盟する海外自動車メーカーの業界団体の声明を参照するよう求めた。声明では、関税により「米国での自動車生産と販売はさらに高コストとなり、最終的には価格上昇、消費者にとっての選択肢の減少、米国での製造業の雇用減少につながる」と述べた。

アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、トヨタでは来期(2026年3月期)に営業利益で3割減が予想されるほか、メキシコ生産が多いマツダは赤字転落の恐れがあると指摘。今後の株価については「来期業績がどうなるかを探りあう展開になるだろう」と述べた。

(トヨタのコメントを追加して更新します)

--取材協力:西沢加奈、長谷川敏郎、吉田昂.

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