欧州が財政支出拡大へと歴史的な転換を図る中で、資産運用会社はユーロに強気なポジションを5カ月ぶりの高水準にまで積み増した。一方、ヘッジファンドはユーロ安への賭けを減らした。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、資産運用会社のファンドマネジャーらは3月11日終了週にユーロ高から利益を得るポジションを26万2759枚に増やした。その数日前にドイツは、財政の鎖を緩め欧州防衛の変革に数千億ユーロを費やすと発表した。ヘッジファンドはユーロのショートポジションを昨年10月以来最低水準まで削減した。

こうした変化は、ドイツによる財政規律緩和を受けて他の欧州諸国も追随を促されていることから、ユーロの行方について世界的に再考する機運が高まっていることを浮き彫りにしている。ドイツ銀行やソシエテ・ジェネラルなどはユーロ相場により楽観的な予測を発表しており、ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらもユーロ相場の見通しを上方修正した。

カマクシャ・トリベディ氏らゴールドマンのストラテジストは14日付のリポートで「より積極的な財政支出は、政策の不確実性やユーロを悩ませてきたその他の問題に対する強力な解毒剤となるはずだ」と述べ、ユーロの対ドル相場の3カ月予測を1ユーロ=1.02ドルから1.07ドルに上方修正した。

ユーロは対ドルで2月の安値から7%余り上昇し、17日のアジア市場取引の中盤には1.09ドル前後で取引された。トランプ米大統領の政策が米国市場を混乱させドルの強さへの信頼が薄れている一方、欧州の支出増が域内経済の成長を後押しするという期待が高まっている。

ゴールドマンのストラテジストらは、「弱まる米国例外主義が『衰退』すれば、ドルは大幅に下落し、ユーロが主な受益者となり得る」と予想。だが、ユーロの評価は貿易加重ベースでは妥当であるため、さらに上昇するかどうかはドルの動き次第となる可能性があると指摘した。

原題:Asset Managers Boost Bullish Euro Bets as Hedge Funds Cut Shorts(抜粋)

--取材協力:Ruth Carson.

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