通販大手の「アスクル」がサイバー攻撃の影響で出荷停止となってからきょうで1か月。教育や医療などの現場に深刻な影響が広がっています。

元気にうたを歌う子どもたち。この子どもたちの学びの場に、いま、ある問題が起きています。

東京いずみ幼稚園 小泉貴史 副園長
「“アスクルの専用品”なので、他に乗り換えようと思うと、ちょっと面倒」

先月19日、サイバー攻撃の標的となったアスクル。この幼稚園ではコピー用紙や名札シールなどあらゆる用品をアスクルに頼っていました。

東京いずみ幼稚園 小泉貴史 副園長
「アスクルが一番楽だったのは“アスキタ”から楽だったんですよね」

ところが、出荷の停止が続いたことを受け、やむを得ず新たな仕入れ先を探し始めたといいます。

東京いずみ幼稚園 小泉貴史 副園長
「(アスクルのサービスが)戻ってきたら、また使いたいというのも当然あるが、調達先を見直す機会にもなったのが実際なところ」

子どもたちの生活にも影を落とすサイバー攻撃。先週には、アスクルの物流システムを使う「無印良品」のネットストアの顧客情報流出も確認。影響は拡大しています。

システム障害からちょうど1か月となるきょう…

記者
「奥の在庫が自動で流れてくる物流システムですが、まったく動いていません。異様な静けさです」

いつもは商品が自動で運ばれますが、今回のサイバー攻撃によって1993年の創業以来、はじめてシステムの停止に追い込まれました。いまは人が紙の資料を確認しながら“人力”で運搬。出荷能力は1、2割ほどにとどまっています。

何とか一部出荷再開にこぎ着けたものの、まだ深刻な影響が続くところも…

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「開業して10年目になりますけど、医療の方を向いて物を作ってくれていたので、非常にアスクルへの依存度が高いというのが現実」

全国で猛威を振るうインフルエンザの影響で、多くの患者が訪れるこちらのクリニック。マスク、医療用ホッチキスなど8割ほどの医療用品をアスクルから調達。医療用品の多くは出荷が再開されていないため、在庫が底をつきかけているといいます。

別の仕入れ先を模索すると立ちはだかるのがコストの問題です。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「(医療ホッチキスは)普通に卸から買うと4000円(税込)ぐらいということで、(アスクルより)2.5から3倍近い値段で見積もりが出てくる」

背に腹は変えられず、一部の医療用品を別の会社から仕入れたことで、この1か月でおよそ5、6万円経費がかさみました。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「一言では言えないような臨機応変の対応をするしかない。一刻も早く、一日も早く、また復活するように祈っている」

アスクルは12月上旬以降に通常サービスの復旧を目指すとしています。