(ブルームバーグ):17日の日本市場は株式が続伸。関税問題で追加の悪材料がなかったことや、中国の政策への期待、米政府機関の閉鎖回避により、先週末の米国株が大幅反発したことを受け、投資家心理が改善した。債券は新発40年国債利回りが2007年11月の同債発行開始以降で初めて3%まで上昇。円相場は下落した。
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米国株はテクニカル指標や心理面の底打ちから、いったん戻り局面となりそうだとみる。日本株は出遅れ感があり、米国から投資資金が流れてきていると指摘。「3月はボトムとなる可能性が高い」との見方を示した。
債券は、石破茂内閣の支持率低下により、政治が混乱して日本銀行の利上げが遅れるとの見方から先物と中長期債が上昇する一方、超長期債は需給悪化懸念から下落。バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長は、石破首相が退陣を余儀なくされた場合、高市早苗前経済安全保障担当相を後任候補に挙げる声があり、昨年9月の自民党総裁選前と同様、利回り曲線のスティープ(傾斜)化が再燃していると語る。
株式
株式は続伸。防衛関連株が買われ、三菱重工業がTOPIXの上昇寄与度1位。ドイツ次期首相候補のメルツ・キリスト教民主同盟 (CDU)党首らが防衛費を債務制限の対象外とし、5000億ユーロ(約80兆7600億円)のインフラ投資基金設立計画で両院の支持を獲得しようとしていることが支援材料になった。
米半導体株高が好感された電機や機械株のほか、商社や不動産株も上昇。米金利上昇で銀行や保険、証券といった金融株も高い。
セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長は、今週の日銀の金融政策決定会合で利上げはないだろうということで、若干円安になり、円相場が落ち着いていると述べた。
債券
債券は、日銀の利上げ観測の後退により中長期債と先物が上昇。三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、石破首相が退陣してリフレ派の高市氏が後任になった場合、日銀の利上げの制約になるとの思惑が一部にあるのかもしれないと語る。
超長期債は下落。東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは、長めの年限は年度末でリスクを取れる投資家が不在で、需給が悪化していると指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円は一時1ドル=149円台前半に下落。日米株高によるリスク選好や実需の円売り・ドル買いが優勢だった。トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と18日に協議するとの報道もリスク選好の円売りを後押しした。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、米ロ首脳が協議するとの報道がリスクオン的な動きを強めたと指摘。春闘の賃上げ率の結果を受けて「円買い材料に出尽くし感があることも、円ロングポジションの調整を促している」と述べ、円安・ドル高が徐々に進むとの見方を示した。
三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井基成課長は、ドルは日中の高値を抜き、目先はポジション調整の一巡が意識されていると指摘。今夜発表される米小売売上高次第で150円をトライする可能性があるとの見方を示した。
投機筋の円買いポジションは歴史的な水準まで積み上がっており、ポジションを巻き戻す円売りが意識されている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、アセットマネジャーのドルに対する円の買い越しは11日時点で8万4960枚と21年2月以来の高水準を更新。レバレッジドファンドによる円の売り越しは3104枚と引き続き小幅にとどまった。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:船曳三郎、我妻綾、長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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