欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は、政府支出の増加により、ECBは再び利上げに踏み切らざるを得なくなる可能性があるとの見方を示した。14日掲載のドイツの投資家向けニュースレター「プラトウ・ブリーフ」とのインタビューで語った。

ECBの中ではタカ派として知られるホルツマン氏は、国防費増に伴う財政支出の増加が「非常に強力な財政刺激策」となり、通常はインフレを招くことになるが、「この場合、金融政策は再び逆方向に向かう必要があるだろう」と述べた。

ホルツマン氏は、6回の利下げを経て、借り入れコストはすでに経済活動を抑制しない中立的な水準にあり、インフレリスクは上昇方向にあるとしている。同氏は次回4月の政策委員会会合で、利下げの一時停止を支持する方針だ。

ホルツマン氏は「次の会合は、これまで提案に賛成しながらも懸念を表明してきた政策委員のうち、何人がさらなる利下げに反対票を投じるかが焦点になる」と述べた。「世界的な政治情勢を見ると、インフレ再燃のリスクが高まっている」とも指摘した。

預金準備金利を2.75%から2.5%に引き下げたECBの6日の会合の際、ホルツマン氏は唯一棄権した。金融緩和サイクルが始まった昨年6月にも、同氏は唯一の反対者だった。

欧州各国が防衛費を大幅に増額する方針を打ち出し、ドイツが防衛・インフラ投資を拡大する計画を発表したことなどを受け、市場は最近、年内の追加利下げの可能性を低く見積もっている。

一部のアナリストは、利上げの可能性すら議論し始めており、可能性は2026年が最も高いとみている。政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は今週、軍事費の増加が「必ずしも」利下げペースの鈍化につながるわけではないと発言した。

ホルツマン氏は現状の金融政策について「私の評価では、すでに中立的な領域に入っている」と述べた。

原題:Big Fiscal Boost Could Force ECB to Hike, Holzmann Tells Platow(抜粋)

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