米ニューヨーク・マンハッタンのアパートの家賃は2月に過去最高値を記録した。全取引の4分の1余りで入札合戦が発生するという激しい競争が背景にある。

不動産鑑定会社ミラー・サミュエルと仲介業者のダグラス・エリマンによると、2月の新規賃貸契約の平均額は、前年同月比6.4%増の4500ドル(約66万6500円)だった。2023年夏に記録した過去最高額を100ドル上回った。

 

賃貸市場が冷え込むと通常予想される真冬の時期としては、驚くほどの上昇だ。だが、過去3年間、借り手は一息つく間はほとんどなかった。2月までの新規賃貸契約数は11カ月連続で前年を上回り、同月のマンハッタンの空室率は4カ月連続の低下となった。

不動産業者が入居希望者に提示価格以上の金額を提示するよう促すため、賃貸競争が激化している市場では、入札合戦がより一般的になっている。2月の新規賃貸契約のうち、入札合戦を経て締結されたものは、過去最高の27%に上った。

ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー社長は「借り手にとってかなり厳しい時代だ。多くが非合理的な入札によって動かされる、本当に理不尽な市場になっている」と話す。

ミラー氏は、近い将来に状況が変化するとは思っていない。市場が混雑している理由のひとつとして、昨年11月の大統領選挙後に、より安定した経済環境を想定して住宅購入を計画していた人の一部が、購入を先延ばしにしている可能性があるとみている。

ミラー氏は「関税や積み重なる不確実性により、経済が不安定になっていることが、消費者が賃貸住宅に住み続ける理由になっていると思う」と述べた。

イーストリバーを挟んでマンハッタンの対岸にあるブルックリンやクイーンズの北西部では、価格上昇はそれほど極端ではなかったが、マンハッタンと同様の圧力を受けている兆候が見られた。

ブルックリンの家賃の中央値は、前年同月比2.9%増の3600ドルで、23年7月に記録した最高値を350ドル下回っている。だが、入札合戦を経て成立した先月の賃貸取引はマンハッタンよりも多い35%だった。また、1平方フィート(約0.09平方メートル)当たりの平均価格は前年から7%上昇し、同地区の過去最高額となる59.15ドルとなった。

クイーンズの一部、アストリアとロングアイランドシティを含む地区では、中央値の家賃が前年から7%上昇し、この5カ月間で前年を上回るのは4回目となった。

原題:Manhattan Apartment Rents Jump to Record as Bidding Wars Spread(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.