米アルファベットの人工知能(AI)研究部門はロボティクス(ロボット工学)向けの2種類の生成AIモデルをリリースする。

ロボティクスの長年の課題である「未知のシナリオへの対応」に向け、開発者がロボットを訓練するのをこれらAIモデルは助ける。

研究部門「Google DeepMind(グーグル・ディープマインド)」は11日、従来より細かい動作ができインタラクティブなロボットの開発を支援する「Gemini Robotics(ジェミニ・ロボティクス)」をリリースすると発表した。これは旗艦生成AIモデル「Gemini」を基盤としている。

もう一つのモデル「Gemini Robotics-ER(ジェミニ・ロボティクス-ER)」は空間理解に特化しており、ロボットメーカーがジェミニの推論能力を活用して新しいプログラムを構築するのを支援する。

同部門のエンジニア、カニシュカ・ラオ氏はメディア向け説明会で、ジェミニをロボットに応用することで、さまざまなタスクに対応できる「汎用(はんよう)ロボット」の開発にグーグルは近づいていると発言。「われわれのいる世界は極めて乱雑かつ動的で豊かであり、汎用インテリジェントロボットは、こうした乱雑さに対処できなければならないと思う」と語った。

人間と同等の作業をこなすロボットを開発するというシリコンバレーの夢がこのところ再び注目を集めており、投資も増えている。メタ・プラットフォームズとテスラ、オープンAIの3社はロボティクス研究を強化しており、ロボティクス分野の新興企業は極めて高い評価額で資金調達交渉を進めている。

グーグルの研究者らは11日、録画済みのデモ動画を公開。新たなAIモデルで訓練したロボットが簡単な命令にどのように反応するかを示した。トレーナーが単語を作るように指示すると、文字タイルの前に立っていたロボットが「Ace(エース)」とタイルを並べてつづった。

また、研究室に設置されたミニチュアのバスケットコートでダンクシュートを指示された別のロボットは、小さなプラスチックボールをリングに通した。

ラオ氏は「初めてロボットがダンクするのを見たとき、チームは本当に興奮した」とし、「興奮したのは、ロボットがバスケットボールに関連するものを一度も見たことがなかったからだ。ロボットはGeminiからバスケットボールのネットがどのようなものか、『スラムダンク』という言葉の意味といった一般的な概念を得て、それを実際の物理的な世界のタスク達成に結びつけることができる」と説明した。

記者説明会でディープマインドの研究者、ビカス・シンドワニ氏はロボットの展開を段階的に進める計画だと述べた。人間と安全な距離を確保した状況から始め、安全性のパフォーマンス向上に伴い、よりインタラクティブで共同作業的なものにしていくとした。

原題:Google Debuts AI Model For Robotics, Challenging Meta, OpenAI(抜粋)

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