欧州諸国がロシアの脅威や米国の欧州離れに伴い再軍備を計画する中、株式の投資家は大きな利益を手にしてきた。クレジットファンドも同様に、その恩恵にあずかろうと動いている。

社債投資家も他の主要市場参加者と同様、もっと平和な時代なら兵器メーカーを除外するESG(環境、社会、ガバナンス)関連の制約への対処が求められており、今はそれらのルールの多くを取り消そうとしている。

複数の投資家が話したところによると、欧州の債券・ローンの投資家は、防衛関連企業へのファイナンスに関する自社の制約を緩和するよう働きかけたり、戦闘機や戦車、ミサイルの製造業者を含めるためESGの意味する範囲を広げようとしたりしている。

ファンド名やマーケティング資料から「サステナビリティー」「ESG」といった言葉の削除を検討するケースも複数見受けられた。ほとんどの投資家は、センシティブな問題だとして公に発言するのを控えた。

欧州防衛強化の動きを受け、一部の債券投資家にとって、クラスター爆弾や地雷などを除きほぼ何でもありのような状況になりつつある。

ティケオー・キャピタルの資本市場戦略責任者ラファエル・テュイン氏は、「防衛は民主主義を守る上で重要な役割を果たしており、持続可能性は本質的に安全保障と結び付くと認識している」と説明。そうした投資について、同社のESG関連ガイドラインでは禁じられていないとしている。

無人機を持つ兵士

新たな資金源の出現は、欧州ESG規制への抵触を依然懸念する銀行から融資を得るのに苦労することもある防衛業界にとって、歓迎する動きとなりそうだ。無人機から監視機器まで幅広く手がける小規模の新興企業には、それが一層当てはまる。ジャンク債の投資家は、特に資金を投じるのに前向きだ。

防衛産業関連の投資について制限を設けるインサイト・インベストメントのポートフォリオ・マネジャー、キャサリン・ブラガンザ氏は「特に自国が防衛に多額を支出している場合、欧州の運用会社では防衛セクターを巡りある程度反省が行われるだろう」と言及。「この問題についてESG基準をもう一度見直す時が来たと考えている」と話した。

原題:Credit Funds Are Ripping Up Rule Book as Defense Spending Soars (1)(抜粋)

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